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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

コロンビア大統領選 鍵となる5つの争点とは

©️YouTube - En Vivo: Elecciones en Colombia 2022

今月29日コロンビアでは4年に1度の大統領選挙が行われるということで地元のニュースは選挙一色となっています。

今の段階で最も支持を得ているのは3月に行われた予備選挙でもトップの得票数を獲得した左派のグスタボ・ペトロ氏。しかし2番目に支持が高い中立右派のフェデリコ・グティエレス氏が少しずつ支持を伸ばし、更に3番手のロドルフォ・エルナンデス氏もここにきて2位のグティエレス氏に迫ってきています。1回目の投票で一定数の得票数に届かなかった場合は上位2名で2回目の投票が行われるのですが、今の段階では1人の候補者が圧勝する可能性はかなり低く2回目の選挙にもつれ込んでいく事はほぼ確実と言えるでしょう。

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©️YouTube - #EnVivo: El debate electoral definitivo Colombia 2022 | El Tiempo

 

大統領選の大きな争点

選挙を目前に控えて現在様々なメディアで候補者によるディベートが開かれているのですが、主に争点として挙げらるのは以下の5点です。

1、フラッキング(水圧破砕法)を支持するか?

フラッキングは地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせ石油などを採掘する手法のことです。フラッキングは大量の石油採掘が可能な一方、環境汚染の原因となるため以前から賛否が分かれるテーマではありました。国の経済を優先させるためフラッキングに賛成するか、環境問題を考えて反対するかで意見が分かれており、現在1位のペトロ氏(左派)と4位のセルヒオ・ファハルド氏(中道左派)は反対、2位のグティエレス氏(中道右派)と3位のエルナンデス氏(独立派)は賛成の姿勢を見せています。  

2、グリフォサート空中散布を再開するか?

コロンビアではコカインの原料となるコカの葉の栽培を抑え込むために、除草剤であるグリフォサートを飛行機を用いて空中散布することで駆除をしていました。しかし「グリフォサートには発がん性があり、その地域の人々の健康を脅かす」とし、数年前にグリフォサートの空中散布が停止されたのです。これによって地元住民の健康は守られましたが、一方でコロンビアのコカイン生産量を抑えることに苦戦を強いられています。昨年4月、ドゥケ大統領はグリフォサートの空中散布の再開を提案しましたが反対の声が相次ぎ、今年の1月にその案は否決されました。候補者の中ではペトロ氏とファハルド氏は反対、グティエレス氏とエルナンデス氏は賛成しています。

3、ESMAD(機動的暴動鎮圧隊)を解体するか?

昨年4月に増税反対が原因で発生した大規模デモではデモ隊とESMADが衝突し、市民に多数の死者が出ました。暴動化するデモ隊を抑えるためにESMADの鎮圧は必要だったという意見がある一方で、無抵抗な市民に対して容赦無く攻撃を加えるESMADの存在に疑問を感じESMADをなくすべきという意見もあるようです。解体にはペトロ氏のみが賛成しており、残りの3名はESMADは解体するべきではないという意見を示しています。

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©️YouTube - El controvertido ESMAD, en el centro de la polémica

4、ELN(民族解放軍)と和平交渉をするか?

ELNはコロンビアに数多く存在する武装組織の中でも最も大きい組織の一つです。2017年10月1日から2018年1月9日までの間、コロンビア政府との合意の上で一時休戦が実現しましたが、その後ELNは停戦の延長を拒否。2019年にサンタンデール県の警察学校に爆発テロを起こしたことを機にドゥケ大統領はELNとの和平交渉を停止することを発表しました。その後ELN側から和平交渉の再開要請がありましたが、ドゥケ大統領はこれに応じない姿勢を見せています。しかしドゥケ大統領の任期中、コロンビアの治安は悪化の一途を辿っており、ELNのような武装組織との和平交渉は治安改善の重要な鍵となるのかもしれません。これには候補者の上位4名全員が和平交渉に前向きな姿勢を見せています。

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©️YouTube - En la selva con el ELN, la última guerrilla de América | AFP

5、安楽死や人工妊娠中絶に賛成か?

今年3月コロンビアで24週までの人工妊娠中絶が合法化されましたが、中絶反対派たちは「授かった命は生きる権利がある」として合法化が決まった週末に規模の大きいデモ行進を行いました。

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©️YouTube - Corte Constitucional despenaliza el aborto libre hasta las 24 semanas en Colombia

更にコロンビアでは1997年から安楽死が合法となっており、その上今年から回復不可能な終末期でなくても安楽死を受けられるように法改正が行われました。また今月には自殺ほう助も合法化するなど、近年コロンビアにおいて命に関する法の改正が連続して起きています。

国民の間で意見が真っ二つに分かれるこのテーマに次期大統領候補者たちはどのような意見を持っているのかにも注目が集まっていますが、ペトロ氏とファハルド氏はこれらに賛成。グティエレス氏とエルナンデス氏はどちらかというと反対の意見を示しています。

 

中南米では近年ペルーやチリをはじめ左派の大統領が次々と誕生しています。コロンビアもこの波に乗って現段階で人気1位である左派のペトロ氏が当選するのか。それとも現在のコロンビアを引き継いでいくと思われる中道右派のグティエレス氏が当選するのか。週末に行われる選挙結果に目が離せません。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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