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松尾彩香|コロンビア

左派躍進!コロンビア議会選挙 5月の大統領選の行方は?

©️iStock - Sadeugra

3月13日、コロンビアで4年に1度の上下両院の議会選挙が行われました。

これまでは常に右派や保守派が大半の座席を確保し政治をリードしてきたコロンビア。今回の選挙では左派が大きく議席を伸ばす結果となり、同時に行われた大統領候補者予備選挙でも左派のグスタボ・ペトロ氏が大幅に票をリードしています。前回2018年の大統領選では僅差で落選したペトロ氏がついに勝利を掴むのか、左右両派から注目が集まっています。

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©️iStock - MicroStockHub

 

コロンビアの選挙

コロンビアの選挙は選挙前日から始まっています。選挙日は13日ですが、選挙前日の午後6時から選挙翌の午前6時まで酒類の販売や飲酒が禁じられ、これを守らない場合は罰金が課せられるのです。また従業員が投票に行くために半休を希望した場合、雇い主はそれを許可しなくてはいけないという事も法律で決まっています。

更に私が住んでいる村では政府によって乗り合いのジープが出され、村人たちを無料で投票会場まで送迎するほか、コロンビア唯一のメトロがあるメデジンでは投票日は運賃を無料にし国民に積極的に投票に参加するように促していました。

こういった様々な努力も虚しく今回の投票率はわずか45%にとどまり、前回の上下院選挙と比較して4%も減少しています。コロンビアの投票率は194ヵ国中154位と、131位の日本を更に下回るほど世界的に見ても投票率の低い国のひとつ(グローバルノート調べ)。「投票に行ってもどうせ変わらない」「どうせ裏で票数が操作されている」「政治には興味ない」と、投票に行かない国民も多いようです。

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メトロの改札「入場無料」と書かれている©️筆者撮影

 

左派・中道左派躍進

現在(2018-2022)の上院議会では右派・中道右派が議席数上位5党を占めており、その数は108議席中77議席にのぼります。下院議会でも右派・中道右派の上位5党が172議席中145席と大部分を占めており、コロンビアではこれまで右派が政治の中心を担ってきました。しかし今回の選挙では左派・中道左派が躍進を見せ、左派のパクト・イストリコ党(Pacto Historico)が16議席と右派の保守党(Partido Conservador)と並んで議席数が一番多い政党へと躍り出たのです。一方、右派・中道右派は大きく座席数を落とし、特に下院では右派を代表する民主中道党(Centro Democrático)と急進改革党(Cambio Radical)が議席が半分に減らすなど、依然として右派の議席数は多いもののコロンビアで右派の支持が落ち始めている事が顕著に現れる選挙結果となりました。

 

30歳のYouTuberが上院選挙当選!

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©️YouTube - URGENTE!! MALAS NOTICIAS PARA EL URIBISMO - LOS TENEMOS DERROTADOS EN EL VALLE!!

今回の選挙で注目を集めた人物をひとり紹介します。彼の名前はジョナタン・フェルネイ・エルナンデス。通称ホタぺ・エルナンデスで知られる30歳のYouTuberです。

決して豊かではない家庭で育ったホタぺは、貧しい人が見捨てられてしまっているコロンビアの政治に疑問を持ち10年前にチャンネルを開設。政治家の汚職やスキャンダルをはじめとする現政権の問題点について、テレビのニュース速報をイメージさせるスタイルで発信を続けてきました。

特に多くの金銭的サポートがないホタぺは奥さんと娘さんと住んでいた家を売却。そのお金を政治資金とし、国会の汚職撲滅を合言葉に信号でビラ配りをするなどして選挙活動を行なってきました。貧困層や中間層、同世代の若者たちに人気があるホタぺは上院選挙で3番目に多い票数である185.399票を獲得し当選したのです。

 

5月の大統領選挙に注目が集まる

今回の上下院選挙選挙では5月に行われる大統領選の予備選挙も同時に行われ、希望者は支持する大統領候補者に1票投票する事ができるようになっています。

この予備選挙の結果、パクト・イストリコ党(左派)のグスタボ・ペトロ氏が448万7,551票を獲得し現段階で1位となりました。

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グスタボ・ペトロ ©️YouTube - De frente con Gustavo Petro, propuestas elecciones 2022 | El Espectador

その後を追うのは中道右派のフェデリコ・グティエレス氏で216万329票。現段階では1位と2位の差は大きく離れておりペトロ氏の当選が有力のように見ることができますが、まだ今の段階では予備選挙に過ぎません。いざ大統領選が始まったら結果がひっくり返るという可能性も十分考えられるでしょう。

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フェデリコ・グティエレス ©️YouTube - De frente con Federico Gutiérrez, propuestas elecciones 2022 | El Espectador

3番目に多い票を獲得したのはフランシア・マルケス氏。同政党のグスタボ・ペトロ氏が1位になったことから大統領選に進むことはできませんが、政治家としての経験がない女性がいきなり3位につけるというのはコロンビアの中でも歴史的な快挙と言えるでしょう。彼女が生まれたのはカウカ県の中でも違法組織の影響を強く受けている貧困地域。シングルマザーとして子供を育てる一方で環境・人権活動家として地元コミュニティをリードし、時には殺人予告が届くこともありましたが彼女はそれに屈することはありませんでした。2019年にはBBCで「世界で最も影響を与えた女性100」に選ばれるなど、女性たちを強く引っ張ってきた人物です。アフロ出身・貧困家庭・違法組織被害者・シングルマザーと、コロンビアにおいての社会的弱者代表のような彼女は今回の大統領選では結果は出せませんでしたが、これからのコロンビアの政治に大きな影響を与えるであろう将来が期待できる女性であることは間違いありません。また、彼女はペトロ氏が当選した際の副大統領有力候補としても噂されています。

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フランシア・マルケス氏 ©️YouTube - De frente con Francia Márquez, propuestas elecciones 2022 | El Espectador

 

コロンビアでは今まで過去に左派が政権を握ったことがありません。今回の上下院選挙で支持を伸ばし存在感を見せつけた左派。もし加えて左派の大統領の誕生となれば、2022年はコロンビアにとって歴史的な1年になることは間違いないでしょう。

なお本稿は筆者個人の見解を示すものに過ぎませんのでご了承ください。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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