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悠久のメソポタミア、イラクでの日々から

牧野アンドレ|イラク

独断と偏見にまみれたラマダンあるある

アルビル市内のバザール ©筆者撮影

イラク北部のアルビルは4月に入り30℃を超える日も見られるようになり、やっと長い冬が終わり春が始まった気分です(ここの夏は50℃を越すので30℃は春の気温です)。

さて、イスラム教の断食月(ラマダン月)が今年は4月2日から始まり、社会も「ラマダンモード」になっています。私の職場も業務時間を短縮し、カフェやレストランも日中は閉まっており、日中と日没後の街の賑わいの対比がはっきりとします。

私も現地の習慣に倣い、夜一食しか食べない断食生活を送っています。本当は水も飲まないようにしたいのですが、そこはさすがに辛く健康にもよくないので隠れて飲んでいます。

今年はラマダン明けのイード(祝祭)が日本のゴールデンウィークと被る見込みで、日本とイラクが同時に大型連休になる珍しい年になります。

さて私自身、過去にヨルダンで1度、イラクで2度のラマダンを経験していますがその中で「ラマダン月のあるあるだなー」と気づくことがいくつかありました。今回はそれをご紹介しようと思います。

※これらはムスリムでない私自身の勝手な独断と偏見ですので、その点をご了承ください。決してイスラム教徒の慣習を面白がっているのではなく、部外者の純粋な観察と発見と思ってください。

   

ラマダンあるある①:ネットが突然重くなる

ラマダンの時期はいい意味でも悪い意味でも、社会全体が同じスピ-ドで流れます。午前中は多くの人が休む時間が長く、前述の通り仕事の時間も全体的に短くなります。多くのレストランが開くのも断食が明ける日没前後の時間からです。

その中で気づいたことの一つが、ネットにかかる負荷が時間によって極端に変わるということです。

皆さんが休んでいる午前中はこれでもかというほどスムーズに動くのですが、断食明けが近づく夕方に差し掛かるにつれてだんだん重くなり、断食が明ける直前の時間はイライラが最高潮に達する重さになります。これは想像ですが、断食明けの食事を前に皆さん待っており、それに合わせて多くの人がスマホを触ってることが影響しているのかと想像します。

その証拠に、断食が明けた直後の30分間はまたストレスフリーでネットが動きます。これは皆さんが食べていて誰もスマホを触っていないからかと思います。

しかしその後はまた皆さん活動時間に入りスマホを触り出すので、極端にネットが重くなります。。

   

ラマダンあるある➁:交通事故が増える

特にラマダン最初の数日、交通事故が増える気がしています。これは喫煙者が日中タバコを吸うことができずに、イライラして交通事故が増えているからと言われています。

これも私個人の体感ですが、イラク(特に北部のクルド人地域)は他の中東諸国と比べても喫煙者は少ない気がしています。なのでそこまで影響は強くないのですが、それでもラマダンの最初は私も少し緊張して車に乗車しています。

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©筆者撮影

   

ラマダンあるある③:「ダイエットだ」と言って結局太る

甘いものとお米が大好きなクルド人たち。私と同年代(20代後半)の男性たちであってもお腹がポッコリと出ている人たちも珍しくありません。彼らは一日一食しか食べないラマダン期の生活が健康にいいと思っているので、特に初めは「ついでにダイエットもするぞー!」と意気込んでラマダンに臨みます。

しかしその一食がカロリーが高く、甘いお菓子もたくさん一緒に食べるので、結局はプロマイゼロかむしろ体重が増えている人が多いというのが彼らを観察した率直な感想です。脂肪を燃焼するには水も多く頻繁に飲む必要もありますが、ラマダンではそれも叶いません。

一日一食で痩せられると思いきや、結局は夜に高カロリーの物を食べ過ぎて太る人が多数を占めている気がします。

   

ラマダンあるある④:ヒジャブを被る女性が突然増える

アルビルは他のイラクの都市と比べるとオープンな人が多く、日ごろ街中を見てもムスリマであってもヒジャブを被らない女性が一定数います。しかしこのラマダンの時期は日頃は被らないムスリマ女性も外でヒジャブを被るようになり、少し別の街になったかのように感じます。

ただいつもヒジャブを被らず、ラマダン期であっても被らないと明言している同僚は「何でラマダンだけ被るのか理解できない」と言っており、ヒジャブを被ることに関して色んな考えがあるのだとも思います。

   

ラマダンあるある⑤:お菓子コーナーの充実具合が3倍増し

甘いお菓子が街に氾濫するのも、ラマダンの時期の風物詩です。

屋台の砂糖と油たっぷりの中東菓子はもちろんのこと、スーパーマーケットでもお菓子コーナーが一気にグレードアップされ様々なお菓子が陳列されています。この誘惑も、前述の「ダイエットが成功しない」理由の一つかと思います。

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アルビル市内のお菓子屋さん ©筆者撮影

   

ラマダンあるある⑥:物乞いが増え、人々も優しくなる(気がする)

ラマダンあるあるの最後ですが、物乞いをする人が街中に増えている気がします。

これはイスラム教徒の義務とされているザカート(喜捨)が強く影響しており、ラマダンの時期は特にそれを行うと良いとされているからかと思います。

個人的にこのラマダンの時期は物乞いをする人も増え、それに応えて寄付をする人も増えている印象です。

さらに車で走っていて道を譲りあうことも多くなっている気もします。(最初の「交通事故が増える」と少し矛盾している気もしますが笑)

断食で大変な中でも、全体的に人が優しくなるのもラマダンの時期の特徴かと思います。

    

アルビルはイスラム教徒が多数派ではありますが、その他にもキリスト教徒やゾロアスター教徒、その他の少数宗教の人々も暮らす多様な街です。実際、クリスチャンが多く暮らす地区に行くと当たり前のように日中もカフェやレストランは営業しており、人々がテラス席に座ってくつろいでいます。

また先日、ヤジディ教徒の人たちが暮らす避難民キャンプを仕事で訪問した際に水を勧められ少しビックリするという経験がありました。ヤジディ教徒はイスラム教徒ではないので、当たり前ですがラマダンは存在しません。

「イスラム教が現地社会の慣習のもとにある」という刷り込みを勝手に自分でしていたのか、これらマイノリティの人たちも含めてイラク社会であることは忘れてはならないでしょう。

この記事の冒頭に「現地の習慣に倣い」とあえて書きましたが、イラクという多様な社会の存在をここで強調させてください。

最後少し話が脱線しましたが、それでもイラクの多数派の宗教行事であるラマダンの様子を今回はご紹介しました。

正直、ムスリムでない身からすると外で水が飲めないし仕事も進まないしでイライラすることもあるのですが、いつもと違うゆったりと流れる日常を味わいたいとも思います。

   

 

Profile

著者プロフィール
牧野アンドレ

イラク・アルビル在住のNGO職員。静岡県浜松市出身。日独ハーフ。2015年にドイツで「難民危機」を目撃し、人道支援を志す。これまでにギリシャ、ヨルダン、日本などで人道支援・難民支援の現場を経験。サセックス大学移民学修士。

個人ブログ:Co-魂ブログ

Twitter:@andre_makino

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