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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

コロナワクチン、接種しました

じゃあ腕を出してくださいと言われ、慌ててコートを脱いだ。特に案内はなかったが、下に半袖を着て行ったのであわてずに済んだ。何も考えずに左の袖をたくし上げていたが、どちらの腕にするか聞かれることもあるようだ。わたしがもそもそしている間、お兄さんはますますにこやかに接種後の注意を始めていた。副反応が出る可能性があります、まずはパラセタモール(薬局で手に入る解熱鎮痛剤)を飲んで安静にしてね、4日経っても症状が続いたら登録した診療所に連絡してね、それからワクチンを打ったからってリスクがゼロになるわけじゃありません、ソーシャルディスタンスやマスクをやめないでね。すらすらと話しながら、お兄さんはまるでついでのように、はい、これを刺すんだよ、と注射器を見せてくれた。と、次の瞬間、ぷすりとわたしの腕にそれを突き刺した! えっ、腕の消毒とかしないの? 

本当は苦手なのに、あまりにびっくりして針の刺さった腕をガン見してしまった。うわさどおり、針は腕に対して直角に突き刺さっている。痛みはなく、ちくりという軽い感触があっただけだ。筋肉注射の針は細いというのをなんとなく体で感じた。ワクチンを入れている2、3秒間に痛みはなかった。針を抜くとさすがに綿を当ててくれたが、大きくてもこもこ丸い形の綿だったので、それをテープで腕に止めるとそこだけ不器用にこんもり盛り上がってしまう。平べったい綿の方がいいんじゃない? ぷっと吹き出してしまわないように、使った注射器が机の上の袋に入れられるのを見ていた。

「はい、終わり」とディズニーランド風に宣言するお兄さん。「あっという間だね」「そうなんだよ、だから周りの人に簡単だよ、痛くなかったよってどんどん話してね。2度目の接種はまた連絡を待ってね」そう話している間に、奥のお兄さんが日付や名前をカードに書き込んでくれていたので、それを受け取って終了。

ワクチン - 1.jpeg

(接種後に渡されたカードと、丸い方は最後に渡されたシール。カードには名前、日付、ワクチンのメーカーとバッチ番号が書かれていて、2度目の接種にまた持っていく。「必ずお財布に入れて持ち歩きましょう」と書いてあるけれど、口頭では大事にとっておいてね、とだけ言われた。筆者撮影)

ブースを離れると、間隔をあけて椅子が並んでいる待機所に案内された。接種後にアレルギー反応が出ないか様子を見るために15分ほど待つと聞いている。だが、椅子に座ろうとすると、「帰りに運転するんじゃなければ帰っていいよ」と感じよく話しかけられた。接種後の待機は会場によって違うようで、全員がしっかり待たされたという話も聞く。でもこの会場では待機はなしなので、これで本当に終わり。

建物を出る時、Well done!(お疲れさま)と声をかけられ、コートの襟にシールをつけてもらった。「コロナワクチンを接種しました」と書いてある。なんとなく恥ずかしくて、すぐにかばんの内側にそっと貼り直した。時計を見ると、到着してから建物を出るまで15分もかかっていない。何をするにも待たされることが多いこの国では驚きの効率のよさだ。「英国の人たちはやればすごいのに、なかなかやる気にならない」と言った友人の言葉を思い出した。

副反応は眠いだけ

そして多くの方がご興味あるだろう副反応のお話。簡単に言うと、わたしの場合はとてもとても軽く、ほとんどなかったに等しい。1月の記事でも大騒ぎしたのが恥ずかしい(告白すると、熱が出た時に備えて体温計も新調していた)。具体的に書き出してみると:

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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