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人情味の溢れる台湾で暮らす日々

河浦美絵子|台湾

一時帰国で実感した台湾の牛乳価格の高さ

一時帰国で感じた台湾の牛乳価格の高さ(Photo by iStock)

■ようやく規制が緩和される台湾

台湾もようやく本日10月13日から、入境制限と入境後の行動制限がぐっと緩和されることになる。世界中から「鎖国」とまで揶揄された台湾の厳格な水際対策は2年以上続いてきた。

私はそんな水際対策が実施されるなか、一度、日本に一時帰国したことがある。日本の水際対策は案外緩かったけれど、戻った台湾では大変な思いをした。台北の松山空港到着後、着ている洋服はもとより履いている靴までもがびしょ濡れになるほどの消毒液噴霧。消毒液で湿った服のまま隔離ホテルに向かわされた。そこから外部との接触は一切絶たれた。窓も開かない隔離ホテルの一室で過ごした14日間。

オンラインやSNSでの交流はあっても、人間は、直接対面で人と話をしたり、コミュニケーションを取らない場合、若干でも精神を病むのを実体験した。あの時、台湾の規制が緩和されるまでは今後、絶対に台湾から出国しないと心に誓ったものだ。

そんな規則でがんじがらめの辛い隔離生活を経験した身としては、実質的に隔離措置が撤廃される日が来るとは、こんなに喜ばしいことはない。それならば、と早速、久しぶりに日本へ一時帰国中である。

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(筆者撮影)台北松山空港の日本便の手続きカウンター

■久しぶりの日本のマスク事情

台湾では屋外での運動等、政府の決めた条件下以外は、まだマスク着用は必須である。

日本はマスクに関する強制的な規制はないと聞いていたので、マスク着用率は低いのかと思いきや、まだまだほとんどの人が日常生活の中でマスクを外していない。レストランなどでも食事を取る時は外しても、その前後はマスクをしたままおしゃべりなどをしているのを見かける。

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食事しないときにはマスク着用が習慣になっている日本(Photo by iStock)

■物価高騰を感じる日本で唯一「安い!」と思うもの

今回、日本に帰ってきてまず実感したのは「以前と比べて物価が高騰している」ということ。

円安もあって海外在住者には日本の物価は安く感じるという報道もある。しかし、スーパーマーケットで食材等を買い、レジで合計金額を言われるたびに「そんな金額になる?計算が間違っていない?」と疑ってしまう。

大好物のパンやケーキなどは「これが一個の値段?」と消費税込みの価格表示を見直してしまう。エコバッグを持っていくのを忘れて、レジで紙袋を買ったらなんでもない紙袋に50円もかかって更に驚く。

そんな日本の物価の高さにいちいち驚く中で、唯一、「安い!」と思うものがある。それは「牛乳」だ。スーパーマーケットの牛乳売り場に並ぶ数多くの牛乳1000mLの価格は約150円~300円程度。総務省統計局が2022年9月に発表した小売物価統計調査データ(https://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/3.html)によると東京都の小売価格平均で1000mLの牛乳は212円。近所のケーキ屋さんで購入した小さなモンブランケーキが1個700円もしたのを考えても、牛乳の価格は安く感じる。

■台湾の牛乳の価格は世界第5位の高さ

日本の牛乳は安い、と感じるその大きな理由のひとつは、台湾の牛乳がとにかく高いのだ。その値段の割には味が薄くてそこまで美味しいとはいえない。

世界各都市の物価などをデータベース化したウェブサイト「NUMBEO」の最新の統計によると、台湾の牛乳は1000mLで88.90元(約427.27円)。世界の「牛乳が高いランキング」では1位がレバノン、そして香港、ジャマイカ、ナイジェリアが続くが、台湾はその次の世界5位にランクインしている。ちなみに日本は36位。

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NUMBEO:Price Rankings by Country of Milk (regular), (1 liter) (Markets)
https://www.numbeo.com/cost-of-living/country_price_rankings?itemId=8&displayCurrency=JPY

■台湾の牛乳が高い理由とは

台湾の牛乳価格が何故このように高い設定になっているのか。

牛を育てる牧場に適した条件は、冷涼で湿気が少ない場所であるそうだが、台湾は高温多湿な気候で、平地が少なく、現在、酪農を営んでいる牧場の規模は非常に小さい。加えて飼料や設備などの原材料のほとんどを輸入に頼っており生産コストが高い。更には人件費や輸送コストの上昇もあり、今後もますます牛乳の価格が上がっていくと予想されている。

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(筆者撮影)たくさんの牛乳が並ぶ台湾のスーパーマーケット:店舗の許可を得て撮影



■台湾人に人気の日本旅行の行き先

日本も今月10月11日から個人の観光客入国を受け入れるようになった。今後、日本ファンが多い台湾からも多くの観光客が日本にやってくるだろう。

私の友人も11月に来日予定。日本で一番行きたいところは「北海道」。そして「日本に行ったら日本の牛乳が飲みたい。日本の牛乳は甘くて濃くて美味しいから」と楽しみにしている様子。

台湾の牛乳1本の値段で、日本の牛乳が2本は購入できる。私自身も大の牛乳好き。日本に滞在中に美味しい牛乳をたくさん飲んでおこうと思う。

 

Profile

著者プロフィール
河浦美絵子
台湾在住20年目。40歳から台湾の大学院で台湾の教育史を研究し、その後、現地の企業に就職。永住ビザ取得。台湾生活の記録として2006年から始めたブログから人脈が広がり、日本の新聞や雑誌、ウェブサイトで台湾情報の記事を執筆するようになる。また、台湾企業へのアドバイザーや日系企業からの台湾市場調査などを請け負う。趣味は旅行と食べ歩き。台湾での毎日の日常を個人のブログで発信している。

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