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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

イタリア新政府による規制のあまりにも急激な緩和と新型コロナウイルス感染状況

https://www.repubblica.it/cronaca/2022/10/28/news/covid_bollettino_settimanale-372074562/

 新型コロナウイス感染症(COVID-19)の感染拡大やそのための死者数が、当初世界の中でも著しく多かったイタリアでは、長期にわたるロックダウンなどの厳しい規制やワクチン接種の推進、グリーンパスの導入などのおかげで、その後は、より緩やかな規制を導入したヨーロッパの他国に比べて、感染の増加や医療機関の逼迫、死者数を抑えることができていました。

 一方、長い間国が一致団結し、厳しい規制に耐え、ワクチン接種によって、自らや皆の命を守ろうとしていたときに、反対の声を上げ続けてきたのが、今回政権を握ることとなった右派で、その中でも特に二つの政党、首相となったジョルジャ・メローニ率いるイタリアの同胞とマッテオ・サルヴィーニを党首とする同盟でした。右派は、市民の間にくすぶる不満を、政府への不満や自分たちの政党への支持を高めるために利用して、感染拡大がまだ深刻だったときに、大勢が密集しマスクなしの参加者も多い集会を開いたり、クリーンパス反対派やワクチン反対派に甘い声をかけたりしてきたのです。

 ですから、右派が選挙で勝てば、感染の増加いかんやその見通しに関わらず、経済の自由と労働者の救済の名のもとに規制が甘くなり、ワクチン接種も受けられなくなってしまうのではないかと、右派の勝利に関しては、今後行なっていくであろう感染対策に対する不安もありました。

 昨日、10月28日の新保健相の発表に、その心配が現実となったことを知り、困惑しています。

・ワクチン接種を受けなかった50歳以上の市民に対する罰金の取り消し

・11月1日以降は病院と老人ホームなどでもマスク着用義務の廃止

・12月31日までとなっているワクチン接種義務は延長なし

・感染状況の詳細データの発表は毎日から週に一度、毎週金曜日に

・ワクチン未接種のため停職処分となっている医療機関従事者が12月31日前に復職できるようにする措置を検討中

 けれどもイタリアでは、10月28日の発表では、直近24時間における新規感染者数が29,040人、死者が85人であり、前日に比べて減少し、全般に減少傾向にはあるものの、検査の陽性率は前日の15.43%から15.90%へと増えています。

 マッタレッラ大統領も、「新型コロナウイルス感染症感染における最悪の事態は過去のものとなったけれども、完全に打ち負かすことはまだできていないので、今後も警戒が必要」であると、新首相と保健相も参加していた式典で訴えています。

 また、最新の週ごとのモニタリング報告によると、危険が高いとされるのはプーリア州のみであるものの、中程度の危険があるとされる州は、トスカーナ、バジリカータ、エミリア・ロマーニャ、リグーリア、マルケ、サルデーニャ、シチリアと7州もあります。また、一般病棟での新型コロナウイルス感染症患者の病床使用率も、ウンブリアが34.7%、ヴァッレ・ダオスタが23.9%、ボルツァーノ県17.8%、トレント県とフリウリ・ベネチア・ジューリアが15.9%、リグーリアが15.3%、マルケ15.1%となっていて、5州と2県で、警戒を要するとされる15%を超えています。

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 昨年も一昨年も、屋内で過ごすことが多くなる秋になると感染が増加しています。過去2年間は、移動や行動の厳しい制限によって増加を抑制することができたのですが、この秋、こんなにも規制が緩和されてしまうことで、感染者数が再び拡大し、結果として亡くなる人が増えることのないように願っています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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