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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

東京オリンピック イタリア・世界で夢と目標を選手に 希望と喜びを人々に

引用元:https://twitter.com/Agenzia_Ansa/status/1418539054786822146

イタリアでも多くの人々が東京オリンピックの試合に注目

 東京オリンピックに、今、イタリアでも大勢が注目しています。夏の始めまで新型コロナウイルス感染状況やワクチン接種の進捗状況で始まっていた全国ニュースも、夏に入ってからは冒頭のニュースが、政治の話題やユーロ2000でのイタリアチームの活躍や優勝、グリーンパス導入や各地で起こる災害などに変わっていたのが、最近では、東京オリンピック関連報道で、ニュースが始まることが増えてきました。

 東京における感染拡大やオリンピック開催に抗議する人々の様子についても、イタリアのニュースでも時々言及があります。ただ、新型コロナウイルス感染が拡大する中でのスポーツ大会の開催という点では、7月に入ってデルタ株のために感染が激増していながら大勢の観客の会場での観戦を許可しようという英国の姿勢に、ヨーロッパの他国が懸念を示し、できれば感染も低く、かつ感染を抑止するために観客数も抑えているドイツなど別国での開催を望んでいたのに、欧州サッカー連盟(UEFA)がロンドン開催で押し切ろうとしていたこと、そして押し通したことを、非難や困惑と共に報道していた一方、東京オリンピック開催についての報道は、東京での感染が拡大していると伝えながらも、オリンピックに向けて旅立つ選手たちへのマッタレッラ大統領の激励の言葉や、無観客での試合と決まったことへの驚きが主だったように思います。ただし、イタリアでは、テレビにせよ新聞にせよ、報道の規制が日本よりもずっと少ないためか、従来、同じ日やできごとについてもマスコミが報道する内容や仕方に大きな差があることが多いので、イタリアでの五輪報道を見聞きして、わたしがこういう印象を抱いているのは、煽動的な報道をしがちなテレビ局のニュースは避けているためかもしれません。

 イタリアでは平日の午後1時からとなった東京オリンピック開会式の解説では、世界中に今なお感染に苦しむ国や人々が多い状況の中で、華美を抑え、けれども木材の利用や歌舞伎など、日本の伝統や特質が活かされ、今の世界にとってとりわけ大切な多様性と調和に重点を置いていることがすばらしいと伝えていました。

目標と活躍の場を選手に与え、多種多様なスポーツと選手が脚光を浴びる場としてのオリンピックの大切さ

 オリンピックという舞台が、世界中の多くのスポーツ選手にとって、世界を相手に勝負する機会であるというだけではなく、スポーツを継続し勤しんでいくための、人生にとっての比類のない大きな目標、節目なのだということを、この数日、改めて感じています。

スクリーンショット 2021-07-28 15.08.21のコピー.png

引用元:https://twitter.com/Eurosport_IT/status/1418932968060592130

 東京オリンピックでイタリア初の、そして今のところ唯一の金メダルを獲得したヴィート・デッラクイラ選手のタイコンドーの決勝戦を、出身地であるプーリアの町の人々が一堂に集まって見守り、テレビの前で勝利に歓喜していました。そして、同選手をはじめ、オリンピックを目標として、日々研鑽に努めてきた様々な競技の選手たちが、メダルを手にした喜びを、「勝利をイタリアやこれまで支えてくれた家族、スタッフに捧げたい」という言葉と共に語り、またはメダルは得られずとも、オリンピックという場で戦うことができてうれしいと報道陣の前で告げています。

 オリンピックは、サッカーやバレーなどと違って、日頃は関心を持つ人が少ないスポーツにも、国の代表として関心が集まり、地域や国の皆が応援する機会でもあるのだと、そして、地域や国の人々が、選手・チームの試合や活躍を通して、こんなにも一つになり、歓喜を共有できるものなのだと実感しています。また、この5年間、特に昨年からは、新型コロナウイル感染症の感染下で、1年延期となり、今年も開催されるかどうか最後まで不安が残る中、それでもオリンピックを目指してずっと研鑽を続けてきた選手たちやチーム、スタッフを思うと、東京や日本で、感染がこれ以上広まらないようにより一層の感染防止対策が取られることを願いつつも、全世界が、そして日本とういう国が、かつてない規模の疫病の蔓延で苦境にある中、オリンピックを開催し、そういう場を今このときに、多くの人々にとって希望や喜びが必要であるこのときに、提供するその意義と大切さを、感じています。イタリアだけではなく、世界中の多くの人々に希望や喜びを与え、今の、そして将来のスポーツ選手たちに夢や目標を与えることができる舞台。東京2020オリンピックもまた、いえ、今だからこそ、これまで以上に、そういう大会となることでしょう。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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