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Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア

平野美紀|オーストラリア

迷惑だけど、憎めない野生の隣人たち ―真夜中に忍び込む有袋類

どこか「ポケモン」ちっくな姿のコモン・ブラッシュテイルド・ポッサム(和名:フクロギツネ)(Credit:JohnCarnemolla-iStock)

オーストラリアは、コアラやカンガルーに代表される有袋類をはじめ、この国にしか生息していない固有の生きものの宝庫だ。オーストラリアの固有種は、哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類だけでおよそ1,350種と言われ、その多さは世界でも群を抜いている。

大型肉食獣のような『天敵』がほとんどいなかったことも、太古の時代から単孔類や有袋類などが生き残り、固有の生態系を育んできた一因となっている。この「天敵がほとんどいない」ということは、この国の生きものたちにとって、一般的な『野生』とは異なる生きる術を与えてきたのかもしれないと思うことがある。

それは、人間さえも恐れない、野生らしからぬ態度・・・そう、野生のくせに、こちらが目を丸くするほど、慣れ慣れしいのだ!

もちろん、すべての個体がそうであるわけではないものの、人間を怖がるどころか、自ら人間の生活領域に入り込んでくるものも多い。動物や鳥たちのほうから近寄ってきてくれるのは、それはそれで嬉しかったりもするのだが、あまりにも度が過ぎていて、驚きを通り越して、ときには迷惑なこともある。

無断家宅侵入の被害多発?

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ガレージの屋根裏などに住み着くことが多く、お腹の袋に入らなくなった赤ちゃんは背中におんぶして子育てをする。(Credit:Pleio-iStock)

コモン・ブラッシュテイルド・ポッサム(和名:フクロギツネ)は、都市部の公園や住宅街にも生息していて、割とどこでも見かける有袋類だ。オーストラリアの固有種であり、この国では保護動物に指定されているが、個体数が多く、住宅の屋根裏や軒下などに住み着いてしまうことから、害獣扱いされてしまうことも多い。

フクロギツネは、猫くらいの大きさで、耳が大きく、黒くてふさふさの尾、ずんぐりした体形で二本足立ちすることもできるその容姿は、どこか「ポケモン」を思わせる愛らしさだ。

わが家も軒下や裏庭に、このフクロギツネが代々住み着いている。ほとんど毎晩、裏のデッキに現れ、毎日顔を合わせているため、個体識別もできていて、それぞれ名前をつけているほどだ。

ある日の真夜中に、目を疑うような事件が起きた。寝室に何者かが入ってくる気配がして目が覚め、体を半分起こしてドアのほうに目をやった瞬間、「は?は?はああぁ?」と、目が点になった。なんと、月明かりに照らされてそこに浮かび上がったのは、赤ちゃんを背中におんぶした格好で仁王立ちしているフクロギツネの姿だったのだ...。

フクロギツネは夜行性で、子育てをしている時は、袋からでてきた赤ちゃんをしばらくの間、おんぶして夜な夜な徘徊しているのだが、まさか寝室に侵入してくるとは思わなかった。自宅の改築工事の際にどこからか入り込んだとみられるが、夕方近くに天井でガタガタ音がするので、まさか・・・と思い、呼びかけてみると、天井から顔をだしたこともあった。

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電気工事で照明を外した天井の穴から顔を出したフクロギツネ。この時の話はこちらの記事で。(筆者撮影)

シドニーの住宅街でよく見かけるポッサムは、このフクロギツネと呼ばれるコモン・ブラッシュテイルドの他に、もう1種いる。フクロギツネよりも一回りほど小さいコモン・リングテイルド(和名:ハイイロリングテイル・ポッサム)だ。

我が家にはどちらも住み着いているのだが、このハイイロリングテイルは、さらに厄介な問題を引き起こす。こちらも夜行性のため、夜中にドタバタと走り回って大きな音を立てる、樋に飛び乗って壊す、屋根をはがして中へ入ろうとする・・・などなど...。おかげさまで、雨漏りがするようになってしまったり、壊れたところを修理しなければならなくなったりと、迷惑かけられっぱなしだ。

デッキに置いてあったバケツの中に隠れ住んでいたハイイロリングテイル。見つかってしまい、動けなくなって固まっているところ(笑)。

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母ポッサムに、ひしっとしがみついている赤ちゃんポッサム。母子の姿は本当に愛らしい。(Credit:Ken Griffiths-iStock)

多くの住民から害獣扱いされるのは、夜中に走り回ったり、家の中に侵入して食べ物を漁ったり、仲間同士の喧嘩で暴れたりするため、睡眠を妨害されることが一番の理由だろう。そのうえ、ときおり家を壊されることもある。たしかに、大変迷惑であるのは間違いない。でも、それでも、子どもをおんぶしながら一生懸命子育てをしているかわいい姿を見たりすると、怒れなくなってしまうのだ。〈了〉

次回は、「迷惑だけど、憎めない野生の隣人」鳥編。・・・怪鳥のごとき破壊鳥と図々しいインコたち。悪事を働くギャング鳥にやられた実際の被害を交え、それでも憎めないかわいい鳥たちをご紹介します。>> 公開しました!

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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