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サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より

古庄亨|ブラジル

クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍①

(サンパウロプランの感染収束予想/サンパウロ州統計センターサイトより)
◉ブラジルの現状

(11月27日現在)
 総感染者数 6,204,220人
 総死者数  171,460人
 回復者数  5,528,599人
 現感染者数 504,161人(無症状、軽症、重症者全て含む)
 総人口   210,147,125人

 全人口の中で現感染者が占める割合 0.23%

クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍状況について①.png
(累計感染者数、累計死者数/ブラジル保健省サイトより)
クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍状況について②.png
(日毎の新規感染者数、死者数/ブラジル保健省サイトより)


これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれである。

ブラジルはノーガード、コロナ禍へのコントロール管理不能と日本では報道されていた。

しかし、ブラジル保健省は、3月中旬(ロックダウン前)には、感染拡大のピークは7月~8月、9月以降は減少に転じると既に発表しており、
実際の死者数、感染者数も一番良いシナリオ通りに進まなかったが、一番悪いシナリオ通りにもなっていない。

コントロールできていたのか、できていないかったのかはさておき、ある意味当初の予想範疇の中での推移となっている。
自分達の国の現状や、ある問題が起きた時にどう進んでいくのかを良く分かっており、外国人である我々が、好き放題言う事は御門違いなのだろうと感じている。

ノーガード戦法と揶揄されているが、規制もきちんと実施されており、3月24日(火)から不要不急の商業活動を規制する政令「quarentena(クアレンテーナ)」が始まっている。
この政令実施は実はまだ続いており、なんと14回目の延長を迎えている。 ※12月15日(火)まで

また、6月1日より、サンパウロ州政府が策定した経済活動再開計画(Plano Sao Paulo)に基づき、州内各地域において市単位、自分達の住んでいる地域の感染者数の状況によって、フェーズが分かれており、その状況によって活動制限が敷かれている。
また経済活動業種毎のルールも細かく設定されている。
マスク不使用の罰金、商業活動違反の規制、見回りもあり、決して無策、ノーガードではなかった事をここにお伝えしておく。

クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍③.png
(地域毎のフェーズ状況/サンパウロ州統計センターサイトより)
クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍④.png
(フェーズに沿ったプラン/サンパウロ州統計センターサイトより)
クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍⑥.png
(ショッピングセンターのフェーズ毎の規制/サンパウロ州統計センターサイトより)


クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍⑦.png
(バールやレストランのフェーズ毎の規制/サンパウロ州統計センターサイトより)



◉実際にコロナ禍によって医療崩壊は起きたのか、起きなかったのか。


この質問への回答は非常に難しい。
起きたという回答も正解であり、起きなかったという回答も正解である。

ブラジルのコロナ禍は休暇をヨーロッパで過ごした富裕層がブラジル国内に持ち帰ったのが発端とされている。
感染拡大当初は富裕層を中心に広がった。
ここから国としての対応が取られたのだが、富裕層宅で働く、お手伝いさんなどを介して低所得者層に広がり、彼らが共同で済むコンドミニアムや地域で、爆発的な感染拡大が起こったのである。

日本の報道で、ブラジルの医療崩壊が叫ばれ、サッカースタジアムの中に野外病院が建設されるシーンや、大量に掘られた穴の中に棺がどんどん運ばれていくシーン。
その様なショッキングな映像をご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。
映像に映っている事は事実であり否定はしない。

ただ補足するとすれば、あくまでそれらはブラジルの一部であり、国内全てがそうなっている訳ではない。

アマゾニア州マナウス市や地方都市、郊外の街で医療崩壊が起きてしまった地域がある。
ただこれらの地域はコロナ禍以前から医療施設や体制が脆弱であり、少しでも何か状況変化が起これば耐える事はできないと予め予想されていた所へのコロナ禍だっため、崩壊はある意味必然とされていた。

その中でも特に医療崩壊が起きた病院が公立病院なのである。
ブラジルには主に公立病院、私立病院、クリニックがあるが、貧困層や低所得者層が無料で受診できるのが公立病院である。その為、公立病院は常に人が多い。
常に受診希望者がいるにも関わらず、人手不足、設備不足であり、満足な治療が素早く行われない。これは慢性的なブラジルの社会問題である。

一方、所得のある程度ある層が受診する有料の私立病院やプライベートクリニックは、医療崩壊が起きなかった。
サンパウロ市の対応で説明すると、私立の2大病院がサッカースタジアムやサンバカーニバル用スタジアムなどに、野外病院を設置し、医療設備を提供。

公立病院が崩壊した際には、この野外病院に加え、上記2大病院を除く他の7つの私立病院が受け入れ態勢を整える。コロナ感染者と一般の方の病院、病棟を分けるなど徹底されていた。

この為、ブラジルのコロナ感染者がピークとされていた8月の状況をお伝えすると、私立病院の病床使用率は40から60%に抑えられており、常に空きがある状況であった。プライベートクリニックなどは他の症状の患者がいなくてなって嘆いていたくらいである。
コロナ受診者も軽症者が殆どでICU(集中治療室)に入っても2~3日で一般病棟に退院するなど、常に余裕を持って対応されていた。

実際に感染拡大ピークの時期とされていたにも関わらず、野外病院は相次いで閉鎖されていった。
実際に生活している側の肌感覚としては、地域や時間帯を考えて行動すれば特にリスクや恐怖感はなかったのである。
日本で流れるブラジルのニュースを見る度に、負の部分だけでなく、バランス良く流していただきたいなと感じてもいた。

日本のニュースが原因で、ブラジルからの撤退や強制退避帰国を本社から命じられた駐在員の方もいる。
本社としては社員を心配しての対応であり、対応に対してとやかく言うつもりはない。
ただ正確な情報がバランス良く流れていれば、決定内容は違ったものになっていたかもしれない。

11月がもうすぐ終わり、クリスマスを迎えるブラジル。
今年はどんなサンタクロースがやってくるのだろうか。

 

Profile

著者プロフィール
古庄亨

ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。

Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ

Twitter: @toru_furusho

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