コラム

反・一帯一路──パキスタン南西部バルチスタン州における「反中テロ」の最前線

2025年06月18日(水)10時21分

第二に、BLAはテロを通じてパキスタン政府の統治力を弱め、国際社会におけるイスラマバードの信頼性を損なうことを狙う。

CPECはパキスタンにとって経済成長の基盤であり、中国との同盟の象徴であるが、繰り返されるテロは治安維持能力の限界を露呈する。


2024年のカラチ空港攻撃がSCO首脳会議直前に発生したことは、国際的注目を集めるタイミングを意識した可能性が高く、パキスタンの国際的イメージを損ね、CPECへの投資意欲を下げる効果を狙ったとみられる。

中国政府は、パキスタン政府に対しCPEC関連施設と中国人の保護を強く求め、2022年の孔子学院テロ後には厳格な処罰と再発防止を要求した。

パキスタン政府は治安対策を強化しているが、バルチスタン州の広大な地形、複雑な部族社会、根強い反政府感情により、治安の安定化は難しい。
 

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プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

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