コラム

ドローンの進化とテロリズム──イスラム国は市販の無人航空機を改造し3つの目的で使用

2025年04月11日(金)16時19分

【テロリズムに新たな次元】

ドローン技術の進化は、今後もテロリズムに影響を与える。特に、スウォーム技術やAIがドローンと融合したシナリオが懸念されよう。こういったリスクに対抗するためには、ドローン探知システムや電子妨害技術の開発が急がれるものであるが、コストと技術的限界が課題となる。

また、商用ドローンの流通規制を強化するための国際協調が必要であるが、国家間の利害対立やプライバシー問題が障壁となろう。安全保障の観点からは、技術が持つ利便性と脅威という二面性を踏まえた包括的な戦略が求められる。



ドローンの進化は、テロリズムに新たな次元をもたらした。イスラム国の事例は、市販技術が紛争地域でどのように悪用されるかを示す典型である。低コスト化、高性能化、アクセスの容易さが相まって、非対称戦の均衡を崩しつつある。

今後、この脅威に対処するには、技術開発と規制の両面での国際的努力が不可欠であり、ドローンがもたらすリスクと機会のバランスを見極める必要がある。現代の安全保障環境において、ドローンは単なる道具を超え、戦略的変革の象徴として位置づけられるだろう。

プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

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