コラム

命を守る人が休めない社会でいいのか? 『レイトシフト』が映す過労の代償

2025年09月09日(火)13時34分
トニー・ラズロ(ジャーナリスト、講師)

RRICE/SHUTTERSTOCK

<医療従事者の疲労が重なれば、命に関わる重大なリスクへと直結する。患者を守る人が休めない社会を、私たちはこのまま許していいのだろうか?>

「ここではランチは取りません」

東京都内のとあるクリニックで、臨床体験実習に参加した医学部生の友人が初日に院長から言われた言葉がこれ。クリニックの1日は朝6時か7時に始まり、夕方4時か5時まで。時にはそれより遅くなることもある。


そんなに長く働いている医師や看護師、事務員にはこっそりランチ休憩を取る秘訣でもあるのかと思い、彼女は周りを見回した。

でもみんなそろってお昼に出かけることもなければ、弁当を広げている様子もない。ここは本当に「食べない仕事場」だったのだ。

クリニックに、そもそもくつろぐための休憩室はない。「休憩用」の椅子が2つだけ院長の部屋に配置してあるが、友人が見る限り、そのスペースは一日中全く利用されていない。

どうやら従業員は誰一人として、たとえどれほど休憩が必要でも、「王座の間」で休むための勇気を振り絞ることはできないようだ。

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