コラム

日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」身近すぎて見えないこともある

2025年07月11日(金)15時50分
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
虎ノ門の金刀比羅宮

虎ノ門の金刀比羅宮 HADI ZAHER/GETTY IMAGES

<ジョージア人と日本人には、ある共通点があった...。日本人の「見えにくい信仰心」について>

宗教をテーマに議論するのは、とても難しい。それは多くの日本人も感じていることではないだろうか。

実は日本育ちの私にとっても、日本における宗教や日本人の宗教観について語ることは非常に難しい。というのも、日本人は一見、信仰心が薄いように見えるからだ。

だが、それは単に表面的にそう見えるだけなのかもしれない。そんなふうに思うようになったのは、ジョージアでの経験があるからだ。


ジョージアでは、日常会話の中に神様がよく出てくる。

例えば「神様がついているさ!」「全ては神様の意向で動いているからね」といった言葉をよく耳にするが、それは神様がいかに日常的かつ身近な存在であるかを示唆するものだ。人柄について言及するときにも「彼女は、とても信仰深い人だよ」とよく言う。

また、メンター的な存在である「痛悔(つうかい)司祭」がいたり、洗礼時に名付け親がいたりするのも普通だ。復活祭やクリスマス前に数週間にわたって動物性食品を断つ「物忌(ものいみ)」を実践する人も、今なお多い。

4世紀からキリスト教を国教として信仰してきた、伝統ある宗教国であるというのも大きな理由であろう。ジョージアを旅していると、人がどのようにたどり着いたのかも分からないような山奥で、たくさんの教会を見かけるのが、その証左である。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシア西部にドローン攻撃 戦闘機・ミサ

ワールド

米、ウクライナ軍事支援再開 ゼレンスキー氏が表明

ワールド

ブラジル大統領、報復辞さないと再表明 トランプ氏は

ワールド

米中外相が初会談、「相違点の管理」で合意 首脳会談
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パトリオット供与継続の深層
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 6
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 7
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    英郵便局、富士通「ホライズン」欠陥で起きた大量冤…
  • 10
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 9
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story