小池知事に聞いてほしい、東京都が学ぶべきEUの留学制度
外国籍者に門戸を広げたEUのエラスムス+
低所得家庭に限定しない点は、欧州の制度「エラスムス+」に似ている。約40年前に誕生したプロジェクトの最新版で、自国以外のEU加盟国の大学で学ぶ機会を大学生・大学院生に提供するこの制度は、実に多くのヨーロッパ人が利用している。最長1年間留学でき(複数回使える場合もある)、留学先の物価に合わせた資金が支給される。
相違点もある。東京都の制度では語学コースは対象外。だがエラスムス+の一部のプログラムには、短期集中の語学コースが含まれる。例えばEU域内の大学で英語で勉強している学生がフランスやポーランドに留学する前に、この助成金を使ってそれらの言語の習得コースをオンラインで受けられる。
もう1つ注目すべき違いは、国籍に対する対応だ。東京都の制度で外国籍者は対象外。日本で育った外国籍者も日本へ留学してきた外国人も、制度から排除されている。
一方、エラスムス+は、もう少し外国籍者に門戸を広げている。EU内の大学に在籍していれば、どの国籍の所有者でもEU市民と同条件で利用できる。このように少しでも「学びの輪」を広げようとする背景には、人権としての「学ぶ権利」の重視がある(EU基本権憲章や欧州人権条約などに明記されている)。そして、大事なキーワードがモビリティー(流動性)だ。
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