コラム

いま、紹興酒が日本でブーム!(の兆し) 「女児紅」「孔乙己」知ってる?

2024年02月29日(木)19時20分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

話を「紹興酒ブーム」に戻そう。兆しがあると言ったが、果たしてどれほどの兆しなのか。

昨年9月に発売された『黄酒入門』(誠文堂新光社、リンク先はアマゾン)の著者で、中国酒に詳しい門倉郷史さんによれば、紹興酒は昔に一度ブームがあり、新たな盛り上がりは2020年あたりからだという。その頃から中国紹興酒業界が積極的に動き始め、これまでなかったタイプの紹興酒も日本に入ってくるようになった。それに呼応するかのように、日本のメディアが紹介する機会も増えた。

「雑誌の企画で、僕がレストランのシェフと組み、紹興酒のペアリングをすることもあります。まだ急増はしていませんが、波は感じています」

日本には探求心の強い酒好きが多く、これまで日本酒やワインをたしなんでいたその酒マニアたちが「未開拓」の紹興酒に興味を持ち始めた、というのが門倉さんの見立てだ。黄酒のイベントを開くと、30~50代の人が大勢集まり、男女比は半々のこともあれば、女性が9割のときもあるという。

全くうれしい兆候だ。女の子が生まれると家で造った酒を土に埋め、嫁に行くときに掘り出して飲むという伝統から生まれた「女児紅(ニュイアルホン)」、酒が飲みたくて本を盗んでしまう哀れな文人を描いた魯迅(彼も紹興出身だ)の短編『孔乙己』から名付けられた「孔乙己(コンイーチー)」......日本人に味わってもらいたい紹興酒はまだまだたくさんある。

中国で今、ジャパニーズウイスキーや日本酒が大ブームになっていることはご存じだろう。中国人が日本の酒を飲み、日本人が中国の酒を飲む。それで双方が楽しく杯を交わせば日中友好はもっと進む──。そんな私の「夢」が酔っぱらいの戯言(ざれごと)で終わらないことを願っている。


Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルのレバノン「大規模地上攻撃」回避を、英仏

ワールド

EU、エネルギー価格抑制策を計画 炭素排出権拡大な

ワールド

イラン攻撃の米軍負傷者約200人に、大半は軽傷=中

ワールド

トランプ氏、訪中「約1カ月」延期要請 対イラン作戦
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story