コラム

韓国への同情と嫌悪、中国出身の私が新大久保で見つけた「日本人らしさ」

2019年11月22日(金)12時00分
周 来友(しゅう・らいゆう)

BirgerNiss-iStock

<直接交流を持てば韓国の人々には親近感を覚えるが、政治になると話は別。繰り返される日韓対立の中、私の気持ちも移り変わってきたが、最近の嫌韓報道を見ていると......>

日本にやって来たのは1987年の春先。埼玉で下宿した1年間とドイツに留学した1年弱を除き、30年間、住まいはずっと東京だ。それが理由かは分からないが、このコラムを書かないかと声が掛かった。

断る理由はない。喜んでその申し出を受けた。が、問題は大事な1回目のネタをどうするか。悩んだ揚げ句、住まいが韓流の聖地である新大久保に近いこともあり、「対韓観」をテーマにしようと決めた。

日本の大学院を修了し、2008年から通訳・翻訳の派遣会社を経営している。その傍ら、取材のコーディネーターやテレビ番組のコメンテーターとして、多くの報道現場に出向き、番組制作にも携わってきた。その中で韓国人や在日コリアンと関わることも少なくない。

直接交流を持ったことがあればお分かりいただけると思うが、文化や生活習慣が似通った韓国の人々には、どこか親近感を覚えるもの。私は中国人だが、日本の皆さんも同じだろう。でも、ひとたび政治的な話となると、話は別だ。

教科書問題や慰安婦問題、徴用工問題と、日韓の間にはとかく衝突や摩擦が起きやすい(日中も同じだけれど)。問題が持ち上がるたび、韓国では政府もメディアも、民間人も批判や抗議を繰り返す。そして日本は謝罪や反論を繰り返す。いつまでたってもこの「やりとり」に変化はない。

判官びいきの私は当初、どちらかといえば韓国に同情的だったが、日本批判と朝三暮四の態度があまりに繰り返されるため、すっかり「被害妄想で約束を破る姑息な国」という印象を持つようになった。

韓国に対してこのような嫌悪感を抱く中国人は、私だけではない。少なからぬ中国人が同様の感情を抱いている。というのも、あの悪名高い「ウリジナル」(そうでないものにも韓国起源説を唱える韓国人を揶揄する造語)に中国も悩まされてきたのだ! 何しろ孔子も諸葛孔明も韓国人で、漢字も漢方薬も韓国人が発明したと言い出す始末。

それはともかく、日中という2つの大国に挟まれ、時に勇み足で理不尽な行動を取ってきたのが韓国だ。それに対し、譲歩をしたり非難を受け入れたりと、大人の対応をしてきたのが日本だった。

ところが数カ月前から、どうも様子が違う。まるで「一億総嫌韓」のような雰囲気が日本全体を覆っている。メディアの一辺倒かつ過剰な嫌韓報道を見ていると、何やら日本が弱い者いじめをしているようで、いたたまれない気持ちにさえなってくる。日本は変わってしまったのだろうか。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、中東情勢悪化で安全資産志向

ビジネス

米国株式市場=下落、イラン情勢を警戒

ワールド

トランプ氏、イランの米領土攻撃懸念せず FBIは脅

ワールド

米軍、イラン機雷敷設船28隻を破壊=トランプ氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 9
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story