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なぜ極右は勢いを増すのか...リベラルが見落としてきた「ナショナルアイデンティティー」とは

HOW LIBERAL NATIONALISM WINS

2025年11月28日(金)18時50分
フィリップ・ミラチッチ(独フリードリヒ・エーベルト財団上級研究員)
強権的な政府への抗議はイスラエル全土に広がった(2023年3月) AP/AFLO

強権的な政府への抗議はイスラエル全土に広がった(2023年3月) AP/AFLO

<世界各国で極右勢力が存在感を強めている。国家主権やナショナルアイデンティティーを巧みに掲げ、人々の不安や帰属欲求に訴える戦略が奏功しているからだ。一方、リベラル派はこうした変化を十分に捉えられず、政治的基盤を揺るがされている。いま求められるのは、排外主義に対抗しうる新たな「国家の物語」である>


▼目次
リベラルが「物語」を築くための3条件

世界各国で、最も勢いのある政治勢力として極右が台頭している。その背景の一端には、右派ポピュリストたちが国家主権やナショナルアイデンティティー(国民意識)を守る存在として、巧みに自己演出していることがある。

トランプ米大統領はその顕著な例だ。ハンガリーのオルバン首相やインドのモディ首相、イギリスで躍進する「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ党首など他の右派指導者たちも、ナショナリズムや排外主義的な言説を押し出している。

長らくナショナリズムを否定してきたリベラル派のエリート層は、こうしたレトリックは時代に逆行していると考えがちだ。特に西欧では第2次大戦後、ナショナリズムが否定され、個人の自律性が尊重されるなか、ナショナルアイデンティティーが強調されることはほぼなくなった。

だが調査によると、ほとんどの人が今も国籍によって自己認識を形成している。一見矛盾しているようにも思えるが、現代社会の基礎的な政治的単位は国民国家であり、国家への帰属意識は人々にとっておのずとある種の前提となっているのだ。

たとえリベラル派がナショナルアイデンティティーを否定したとしても、その意味が損なわれることはなかった。説得力あるリベラルの概念が示されないなか、人々は民族や人種、宗教といった伝統的な──そしてしばしば排他的な──属性に頼るようになった。極右の指導者たちは特定の属性の利益を代弁する「アイデンティティー政治(ポリティクス)」を利用して、移民やマイノリティー、超国家組織への恐怖をあおったのである。

一方のリベラル派は、人々の不安を無視するか、政策で解決できる問題として扱い、有権者の文化的アイデンティティーと密接に結び付いている点を見落としていた。その結果、極右の復権によって多くの国で政治は揺さぶられ、リベラル派はその足場を失っている。

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