最新記事
BOOKS

「素人のアダルト動画を見て育てば、子どもが『自分も...』と錯覚する」石井光太が教育現場で見たもの

2025年11月22日(土)09時35分
朴順梨(ライター)
ノンフィクション作家の石井光太

大人には想像もつかない、今の子どもたちの暴力・いじめの現状を取材したノンフィクション作家の石井光太 写真:宮本信義

<増え続ける校内暴力・いじめ。今や子どもが加害者となる性犯罪も珍しくないが、それはなぜか。大人が知らないその現状と処方箋を、ノンフィクション作家の石井光太に聞いた>


「子どもたち同士のトラブルが大小問わず起きています。そしてその数だけ、 加害児の保護者も巻き込まれ、わが子への対応に頭を悩ませている現実があります。
 現在の日本の小中高校で、子どもたちによる暴力行為が右肩上がりに増加しているのをご存じでしょうか」(『はじめに』より)

文部科学省の今年10月の発表によれば、校内で起きた暴力行為の発生件数は12.8万件。前年度と比べると18.2%増加している。10年前と比べれば、なんと130%以上の増加率である。

『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』などで知られるノンフィクション作家、石井光太さんの新刊『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』(CEメディアハウス)は、子どもたちがなぜトラブルを起こしてしまうのか、加害者になってしまうのかにフォーカスを当てた1冊だ。

子どもの間での「いじめ」と聞くと、大人たちは集団で無視したり学用品を隠したりといったことを思い浮かべがちだ。しかし今は、目に見える形でのいじめは少数派だと、石井さんは説明する。

『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』
「僕の世代では葬式ごっこなどがありましたが、今の子どもたちはそのようないじめはしません。それは大人側が『こういうことはしてはいけない』と子どもたちに言い過ぎたことで、子どもたちも『これをしたら怒られるからやめておこう』と肝に銘じているからです。

でも人間関係のいさかいは抑制できるものではないので、より巧妙な形でいじめが生まれていきます。例えば、SNSに誰かが書いた『今日ワロタ』みたいなひと言に対して、クラスメイトが『俺も』『WWW』『それな!』と次々に賛同していく。

一見するといじめには見えないし、むしろ共感が広がっているように見えるかもしれない。でも、それらの言葉の底にあるのは悪意であり、共感は悪意の拡散です。当然、笑いの対象にされた子どもは傷つく」

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

消費者態度指数、12月は5カ月ぶり悪化 物価高予想

ワールド

エクソンモービル、原油価格下落で25年第4四半期の

ビジネス

ステランティス、25年イタリア自動車生産が71年ぶ

ワールド

米ミネアポリスで移民捜査官が女性射殺、市長は自衛の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 8
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中