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飲酒運転事故が年間1万件超、ついに日本人観光客も犠牲に 韓国、交通事故の構造的問題点とは

2025年11月19日(水)16時25分
佐々木和義

自動車にタクシーが衝突した事故現場

ソウル市漢南洞(ハンナムドン)で横転した自動車にタクシーが衝突した事故現場 (撮影=筆者)

11月12日、ソウル在住日本人など26人が貸切バスで地方観光に出かけた際、訪問地最寄りのインターチェンジを通り過ぎそうになった運転手がバスを急停車させ、高速道路本線を後退して分岐点へ戻る危険行為を行った。大事には至らなかったが、惨事につながりかねない運転だった。

韓国では交差点や分岐点での強引な車線変更をはじめとする危険運転は少なくない。危険運転の代表格はバスとタクシーだ。「深夜、金浦空港からホテルまで乗ったタクシーが時速130km以上で走った」という証言や「韓国のバスは運転が荒く乗客を乗せている意識がない」という声もある。

ソウル在住日本人の間で「バスは王様、タクシーは王子様」と言われるほど強引な危険運転が多く、避けきれずにぶつかる事故も頻発する。

免許制度の問題点

免許制度も事故の遠因となっている。運転免許は原則10年ごと(65歳以上75歳未満は5年、75歳以上は3年)の更新が必要だ。更新時には以下の講習・検査が義務付けられている。

・第一種免許(事業用)所持者および70歳以上の第二種免許所持者:適性検査が義務
・75歳以上:適性検査に加えて交通安全教育の受講が義務
・過去に免許取消実績がある者:免許切り替え時に6時間の交通安全教育が必要

しかし、これら以外の一般ドライバーには更新時の講習義務がなく、免許取得後に道路交通法の改正を知る機会がない。免許取得時に学んだ法規を忘れてしまった免許所持者など、ドライバーごとに異なる運転ルールとなっている実態がある。

筆者は日本の運転免許所持者が無試験で韓国の運転免許に切り替えできる制度を利用して韓国の運転免許を取得した際、交通法規を記載した冊子かサイトを尋ねたが、答えはないというものだった。また7年以上の無事故者は、試験免除で事業用免許を取得できる制度もあり、韓国内で7年以上ペーパードライバーだった筆者は日本の二種免許に相当する1種普通免許を所持している。

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