山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235球の真実
THE MAKING OF A GOAT

今年2月のキャンプ初日、ブルペンから指にかかった力強い球を投げ込んだ山本に「今年は違う」と首脳陣、選手、スタッフの誰もが感じた。
3月に東京ドームで行われたシカゴ・カブスとの開幕戦で開幕投手に指名されると、そこからは獅子奮迅の活躍。先発、救援問わず投手陣に故障者が続出するなか、シーズンを通してただ1人、先発ローテーションを守った。
地区優勝後のシャンパンファイト中に取材に応じた大谷翔平も「由伸は1年間、ローテーションを実質1人だけ守ってフルシーズン投げてくれた。チームのエースだと思っている」と評するなど、この頃にはナインから全幅の信頼を置かれていた。
山本の2年目のPSは神懸かり的だった。まずドジャースファンの心をグッとつかんだのは試合ではなく、ミルウォーキー・ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦の先発前日の10月13日に山本が会見で語った言葉だ。
「何としても負けるわけにはいかない」と日本語で発言し、「Losing isnʼt an option.(負けは選択肢にない)」と園田芳大通訳でない米メディアによって意訳されると、すぐにTシャツが製作され、キケ・ヘルナンデス、ジャスティン・ディーンらナインが練習時に着用するほどまでチーム内で流行。一方、日本ファンの間では「言っていない語録」として大きな話題を呼んだ。





