最新記事
中東情勢

アメリカが提案する和平案でネタニヤフの政治生命が終わる可能性...ガザ紛争の行方は?

Netanyahu’s Shaky Future

2025年10月7日(火)15時15分
トム・オコナー(本誌米国版外交担当副編集長)
訪米したネタニヤフがトランプと会談

訪米したネタニヤフがトランプと会談(9月29日) AP/AFLO

<ネタニヤフは対外戦争の他にも、収賄、詐欺、背任など政権存続にかかわるリスクを数多く抱えているが>

イスラエル史上最長の通算在任期間を延ばし続けているベンヤミン・ネタニヤフ首相のレガシーの多くは、同国史上最長かつ最も犠牲者の多い戦争と深く結び付く。彼は今、危機と機会に同時に直面している。

【動画】トランプをおだてるネタニヤフ

イスラエルがイスラム組織ハマスと2年にわたり戦争を続けているパレスチナ自治区ガザをめぐり、アメリカが9月29日に新たな和平案を発表した。アラブ諸国を含む国際社会もおおむね支持している。


ただし、いかなる結果も保証されてはいない。特に、ハマスが今回の和平案を受け入れる可能性は低いと、多くの人が予想している(編集部注:ハマスは10月3日、人質全員の解放に合意)。ハマスが拒否すれば自ら孤立を深めることになるが、ネタニヤフとドナルド・トランプ米大統領に対する事態解決へのプレッシャーが和らぐこともない。

もっとも、ハマスが和平案を受け入れたとしても、ネタニヤフが抱えている悩みが消えるわけではない。

ネタニヤフの連立政権に参加している極右勢力のイタマル・ベングビール国家治安担当相とベツァレル・スモトリッチ財務相は、以前から停戦合意に反発して政権離脱をほのめかしている。

さらに、ネタニヤフは収賄などの裁判を抱え、国内では政策への反発が高まっていて、2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃を招いた諜報活動の失態も追及されている。戦争が終わればこれらが一気に噴き出しかねない。

それでも、元特殊部隊員から戦時指導者になったネタニヤフが政治的に生き延びる能力は過去が証明していると、イスラエルの専門家や元当局者はみる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中