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なぜ日本は「移民」を語って「帰化」を語らないのか...「不気味な沈黙」の背後にある「移民国家の現実」

LET’S BREAK THE SILENCE

2025年10月7日(火)14時30分
レジス・アルノー(ジャーナリスト)

帰化の認定を行うのは各地域を管轄する法務局で、そのプロセスは「ブラックボックス」だ。却下理由は開示されない。行政手続法では公平性や透明性、権利利益を保障しているが、帰化や移民関係の手続きは適用除外となっている(行政手続法第3条第1項第10号)。

一部の政治家が指摘するように、永住権の取得よりも日本国籍を取得するほうが驚くほど簡単なことは確かだ。しかしこうした批判は、永住権自体の取得が非常に困難で、その傾向がさらに強まっているという事実を覆い隠している。


「(日本が)外国人に大量に来てもらう『移民国家』になることはないと明言する」と、鈴木馨祐法相は9月初めの朝日新聞のインタビューで述べている。しかし鈴木の約束は既に破られている。

日本が移民国家であることを否定するのは、日本が高齢国家であることを否定するのと同じだ。外国人を幽霊のように扱い、日本人の恐怖心をあおっている。

日本は間違いなく既に移民国家なのである。現在日本には、静岡県の人口に相当する約380万人の外国人が暮らしており、社会の機能に不可欠な存在になっている。

関西国際大学の毛受敏浩(めんじゅとしひろ)客員教授の試算によれば、農林業で働く外国人は2014年には119人に1人だったが、2021年には31人に1人になっている。建設業では246人に1人から今や27人に1人に。同様に宿泊・飲食業で働く外国人は、42人に1人から15人に1人に増えている。

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