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なぜ日本は「移民」を語って「帰化」を語らないのか...「不気味な沈黙」の背後にある「移民国家の現実」

LET’S BREAK THE SILENCE

2025年10月7日(火)14時30分
レジス・アルノー(ジャーナリスト)
横断歩道を渡る人たち(大阪)

beeboys-shutterstock

<他国と比べても日本は国籍の付与に極めて慎重。しかも認定の過程は「ブラックボックス」で──>

移民は日本でいま最も議論されている話題だが、驚くべきことにこの議論の中で語られていない言葉がある。「帰化」である。耳障りに感じられるかもしれないが、この不気味な沈黙は速やかに破られるべきだ。

日本は外国人に国籍を与えることには極めて慎重だ。法務省によれば、1952〜2024年に日本国籍を取得した人は61万208人。年間の取得者数は1993〜2012年には1万人を上回っていたが、それ以降、2017年を除いて1万人を超えたことは一度もない。昨年は8863人だった。


フランスを例に挙げると、2024年に10万3661人に国籍を与えている。人口比で換算すると日本の付与数の21倍だ。2019年以降の6年間だけで、日本が1952年以降に付与した数と同程度を与えている。

より分かりやすい比較対象は韓国だろう。韓国は2024年に1万1009人の帰化を認めた。人口比換算では日本の3倍に相当する。

先進国で外国人が国籍を取得するには、その国で出生するか、あるいは帰化を申請するという2つの方法があるが、日本は後者しか認めていない。

日本で帰化が認められるには言語能力、特に読み書きが重視されるため、中国人や韓国人の申請者は認められやすい。申請者が申請前の数年間に連続して3カ月以上、または年間100日以上国外に居住していた場合は、却下される可能性が高い。

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