最新記事
ドローン

ドローン攻撃の目的は突破口を開くことではない...ドローン攻撃を続けるロシアの真の目的とは?

SWARM UND DRANG

2025年10月2日(木)11時30分
ヤシル・アタラン(戦略国際問題研究所〔CSIS〕研究員)
ロシアのドローンで破壊されたアパートの被害を確認する男性

ロシアのドローンで破壊されたアパートの被害を確認する男性(キーウ、9月7日) THOMAS PETERーREUTERS

<ロシアはドローンを「日常的な攻撃」と「一斉攻撃」の2通りで使い分けている>

<この記事の前半はこちら:ドローンが戦争の常識を覆す...ウクライナ戦争に見る「非接触型戦争」の最前線とその実態

ロシアは量産性を生かし、戦略を大きく変えた。今のロシアはドローンを「日常的な攻撃」と「一斉攻撃」の2通りに使っている。

日常的な攻撃の目的は持続的な圧力をかけることだ。数は比較的少ないが、自爆型ドローンを連日発射している。一斉攻撃は巡航ミサイルや弾道ミサイルも組み合わせた大規模な作戦で、ウクライナの防空システムを圧倒するのが狙いだ。


筆者の所属する戦略国際問題研究所(CSIS、ワシントン)の分析では、22年に一斉攻撃に使われたドローンとミサイルは約100機で、攻撃頻度は月1回ほどだった。これが今年半ばには平均370機近くに増え、攻撃頻度も8日に1度になった。

こうした一斉攻撃の目的は、特定の標的を破壊することではない。ウクライナの軍や市民に心理的打撃を与えることだ。

一晩に500機以上の自爆型ドローンを送り込めば、首都キーウなどの都市部を直撃し、市民の恐怖と不安を高められる。市民は迎撃できたドローンの数には関心がない。サイレンや爆発、眠れぬ夜といった経験そのものに苦しむ。ロシアが生み出そうとしているのは、まさにこの疲労と恐怖が渦巻く空気だ。

東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

金融政策の具体的手法、日銀に委ねられるべき=片山財

ビジネス

全国コアCPI、10月は+3.0%に加速 自動車保

ビジネス

貿易収支、10月は2318億円の赤字 市場予想より

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米株安の流れ引き継ぐ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中