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国連で露わになったアメリカの孤立...和平仲介のはずが戦火拡大で世界が見切り

2025年9月25日(木)12時25分
フランスのマクロン大統領

ガザ戦争をめぐる米国に対する国際的な不満が今週、国連総会で表面化した。写真はフランスのマクロン大統領。9月23日、ニューヨークの国連本部で撮影(2025年 ロイター/Eduardo Munoz)

ガザ戦争をめぐる米国に対する国際的な不満が今週、国連総会で表面化した。米国の同盟国がパレスチナ国家を承認し、トランプ米大統領の中東政策は大きな試練に直面している。

トランプ氏は2期目の大統領に就任する際にイスラエルとハマスの戦争を早期に終結させると約束したが、イスラエル軍がパレスチナ自治区で攻勢を強めるのを傍観しているようにますます見える。そしてトランプ氏は中東で米国の最も親密な同盟国であるイスラエルを押しとどめるのをためらったままでいるのだ。


 

イスラエルのタニヤフ首相は今月初め、カタールでのハマス指導者に対して攻撃を仕掛けてトランプ氏に不意打ちを食らわせた。この攻撃はトランプ政権が進めていたガザ停戦と人質解放交渉を実現させようとしたこれまでの試みの失敗をほぼ決定的にした。

イスラエルはその後ガザ市で地上攻撃を開始し、世界中から人道危機の拡大に対する非難が高まっている状況で、米国は地上攻撃に異議を唱えずに容認した。

そして「ハマスへの贈り物になる」というトランプの警告を無視し、英国、フランス、カナダ、オーストラリアなどの米国の同盟国は、国連総会の開催前や開催中にパレスチナの国家承認を発表し劇的な外交政策の転換を示した。

ワシントンのシンクタンク「中東研究所」の上級研究員ブライアン・カトゥリス氏は「トランプ氏は中東地域で、とりわけイスラエル・パレスチナ問題に関して主立った何の進展も成果も挙げられていない。実際は彼の就任時よりも事態が悪化している」と語った。

2年近く続いている紛争の終結が一段と遠のいている状況で、ノーベル平和賞に値する偉大な和平仲介者だとするトランプ氏が返り咲いて以来繰り返してきた主張に対して懐疑的な見方が出ている。

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