自民党総裁選「政策継承」が争点に...小泉氏は持論を封印し「現実路線」へ

石破茂首相(自民党総裁)が党総裁選(10月4日投開票)に絡み、自身の政策を引き継ぐ候補の当選を望む考えを明らかにした。写真は小泉進次郎農相。9月20日、東京で代表撮影(2025年 ロイター)
石破茂首相(自民党総裁)が党総裁選(10月4日投開票)に絡み、自身の政策を引き継ぐ候補の当選を望む考えを明らかにした。閣内で支えた小泉進次郎農林水産相と林芳正官房長官が念頭にあるとみられる。すでに多くの国会議員が支持を表明している小泉氏は今回、「規制改革」などの持論を封印。石破政権、その前の岸田文雄政権の政策を明確に継承する戦略に転じている。
「この1年間、政権で共に汗をかき、力を尽くしてくださった方、基本的な政策を引き継いでくださる方が結果として選ばれることがあればいいと思う」。石破首相は23日、初めて自身の総裁選の投票行動を示唆した。名指しこそ避けたものの、小泉氏と林氏のどちらかを支持する意向を事実上表明したものだ。
林氏は18日の立候補表明会見で「岸田政権、石破政権と続いてきた政策の流れを受け継ぎながら新しいものを加えていきたい」と述べ、路線継承を明確に打ち出した。掲げる「林プラン」にも既存政策が並ぶ。新たな政策で色を出すよりも、豊富な経験を生かした安定性をアピールする戦略だ。
一方、昨年の総裁選で「聖域なき規制改革」や解雇規制の見直し、選択的夫婦別姓の容認などを掲げた小泉氏は、主張を大きく既定路線に寄せてきた。陣営関係者によると、小泉氏や側近の木原誠二衆院議員らは「国民の声を聞くことと野党の協力を得ることが何より大事だ。今回は政策の尖り具合で競う総裁選じゃない」と申し合わせて政策の取りまとめを進めたという。
小泉氏陣営がベースとしたのは岸田、石破両政権が掲げた「賃上げを起点とした成長経済の実現」だ。2029年度までに持続的・安定的な物価上昇のもと、物価上昇を1%程度上回る賃金上昇をノルム(社会通念)として定着させるため、価格転嫁や生産性向上などに取り組む経済政策を指す。石破政権が6月に閣議決定した「経済財政運営の指針(骨太の方針)」にも盛り込まれたものだ。