「日本語のクチコミは信じるな」...豪ワーホリ「悪徳ファーム」の搾取手口とは? 英語のできない日本人狙いか
EXPLOITED ABROAD
特筆すべきは、本稿に登場するワーホリ労働者の多くが日本人コミュニティーを通じて仕事を見つけ、アジア系の労働者と共に働いたということだろう。
ワーホリ労働者への賃金未払いや搾取を「構造的問題」として指摘したFWOの調査報告書などによると、英語力が不足する「アジア出身者が意図的にターゲット」にされている。
伊勢は、2度目のワーホリビザを取得した後も「農作業は自分に合っている」と合計10カ所の農場で働いた。彼女によると、英語圏のフェイスブックグループで求人を探し、欧米系の労働者もいる農場で勤務すれば、搾取を受ける可能性は低い。
伊勢は「日本人コミュニティーに出ている求人は信じていないですね。アジア国籍のオーナーが経営し、従業員も一定の国籍に絞られた『アジア系のファーム』で働かないことが重要だ」と言う。
もっとも、日本人コミュニティーで紹介される農場が全て悪質とは限らない。「人件費削減や寮費で稼ぐよりも果物をしっかり売って利益を得るほうが効率的」と、法律にのっとった労働条件で、日本人のワーホリ労働者を多く受け入れている農場も存在している。
ビクトリア州でブドウ農園を経営する松崎絢子は、「ファームを去る時に手紙やプレゼントをくれたり、インスタを交換したりしてくれる人もいます。来年また収穫に戻ってくると約束してくれる方もいます」と話す。