最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナを守るのは「誰」か?――揺らぐ安全保障と「安心部隊」の実態とは

Security Delusions

2025年9月2日(火)17時15分
クリスチャン・カリル(元本誌米国版モスクワ支局長)

newsweekjp20250902025007.jpg

ロシアのプーチン大統領は停戦に関心を示すふりをしているだけ? GAVRIIL GRIGOROVーSPUTNIKーPOOLーREUTERS

ロシアとアメリカとイギリスは94年、ウクライナがソ連時代の核を放棄するのと引き換えに、独立と主権と領土と安全を保障すると約束した。ロシアはもちろん、アメリカとイギリスがその約束を守っていないことは明白だ。

本気でウクライナを守るなら、コソボのように、大規模な国際部隊の駐留が不可欠だ。ヨーロッパ諸国はこの組織に「安心部隊」という、セラピーか何かのような名前を付けているが、問題は、実際にどの国が兵士を派遣するかだ。


みな兵士派遣には及び腰

伝統的に軍事行動に積極的なイギリスは、当初、3万人程度を派遣するとしていたが、足元の財政難もあり、その数字は縮小している。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、有志連合のリーダーを自負するが、ウクライナへの即時派遣は否定する。

ドイツやイタリアも、ウクライナ支持を表明しつつ、具体的な兵士派遣となると及び腰だ。ポーランドはNATOの東辺防衛に忙しく、ウクライナについては物資面での支援に徹すると表明している。

スペインとオランダも、兵士の派遣以外の形で支援をするという。ハンガリーとスロバキアは親ロシア政権ということもあり、ウクライナへの兵士派遣にきっぱり「ノー」と言っている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ249ドル安 トランプ関税

ワールド

トランプ氏、シカゴへの州兵派遣「権限ある」 知事は

ビジネス

NY外為市場=円と英ポンドに売り、財政懸念背景

ワールド

米軍、カリブ海でベネズエラ船を攻撃 違法薬物積載=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中