トランプ大統領が仕掛ける「ゲリマンダー戦略」とは?...共和党による長期の下院支配に道も

8月24日、トランプ米大統領が共和党主導の州に対し、来年の中間選挙で下院の多数派を守るため選挙区の区割りを見直すよう求めている。写真は連邦議会議事堂。2019年11月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Loren Elliott)
トランプ米大統領が共和党主導の州に対し、来年の中間選挙で下院の多数派を守るため選挙区の区割りを見直すよう求めている。政治アナリストや専門家によれば、このような動きは共和党が今後数十年にわたり下院を支配する道を開く可能性があるだろうという。
共和党は現在、下院で219対212と僅差の多数派。トランプ氏は2018年の自身や22年のバイデン前大統領に起きた事態のように、現職大統領の与党が中間選挙で敗北するという過去の流れを断ち切ろうとして、まず南部テキサス州を手始めに積極的な区割りの見直しを推し進めている。
西部カリフォルニア州を筆頭とした民主党の強い州は党派的利益のために自州の選挙区の区割りを見直して報復措置を取ろうとしている。こうした動きは「ゲリマンダー」と呼ばれる米政治にとって長年の特徴で、現代のデータ分析ツールによってその動きが格段に強まっている。
しかし、共和党は23州で州議会多数派と知事職を握っており民主党の15州を上回る。さらに独立系アナリストの分析によると、30年の国勢調査後、人口移動により共和党が優位な南部と西部の州で最大11の新議席が誕生する可能性があるという。
民主党は1955年から95年まで40年間連続で下院を支配。保守的な南部の民主党議員が本格的に共和党へ支持政党を変えるまで、そうした傾向が続いた。
今回の区割り見直しをめぐる争いのために、新たな「ゲリマンダー時代」が到来するのではないかと懸念が生じている。共和党と民主党が優位を奪い合おうとし既に深刻な米国社会の分断が加速する恐れがある。