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ウクライナ戦争

ドンバスをロシアに譲れ、と言うトランプがわかっていない2つの重大な事実

Why Handing Donbas to Putin Would Be So Difficult for Ukraine

2025年8月20日(水)17時10分
エリー・クック、ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

2014年にウクライナ南部のクリミア半島を占領したロシアは、両州で親ロシア派の武装勢力を支援して分離独立を後押しし、全面侵攻を開始した2022年秋には、南部のザポリージャ州、ヘルソン州も含めた4地域の独立を宣言した。

ドンバスは、ウクライナ戦争で最も激しい戦闘が行われてきた地域だ。ロシアの執拗な攻撃を受けたバフムト、アウディーイウカ、ポクロウシクなどはいずれもドネツク州に位置し、多大な犠牲を出している。

ロシアは7月初め、ルハンスク州全域を掌握したと主張したが、西側の分析では、ウクライナがなおも一部を保持しているとされる。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所(ISW)」によれば、今月時点でウクライナはドネツク州の約6500平方キロ、すなわち約4分の1を維持している。前線の動きを日々追っている同研究所は、8月17日に以下の分析を発表した。

「ドネツク州の残りをすべて制圧するには、ロシア軍は複数年にわたり、厳しい戦闘を繰り返す必要があるだろう」

プーチンはトランプに、ロシアが本気を出せばドネツク全域を奪える、と言ったと伝えられるが、その主張も誤りだとISWは反論する。2014年の侵攻開始以来、一貫してドネツク制圧を試みてきたにも関わらず、いまだに達成されていないという。

ISWによれば、ザポリージャとヘルソンについても、およそ4分の3の支配に止まっている。

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