イスラム国「大復活」はアフリカから...先進国に再びテロの脅威が吹き荒れる?

ISIS Is Waging a Deadly War Across Africa That Threatens US

2025年8月7日(木)15時35分
トム・オコナー

IS系武装勢力は着実に力を付けている

「ここ数年アフリカは、IS系武装勢力も含めたイスラム過激派による暴力の最前線となっている」と、大湖地域(ルワンダなどアフリカ中東部の国々)およびサヘル地域で米特使を務めたJ・ピーター・ファムは本誌に語った。

「ここ3年間、世界全体のテロによる死者の過半数がアフリカで発生しており、なかでもサヘル地域だけでテロ関連死の約半数を占めている。各IS系武装勢力の脅威レベルにはばらつきがあるが、サヘルからソマリア、東コンゴ、モザンビークに至るまで、いずれも大きな脅威となっている」

「さらに、彼らは広範な領土を掌握するか、一部地域で国家の統治機能を麻痺させる程度にまで、(その脅威レベルを)着実に高めている」


アフリカ各地のIS系武装勢力はこれまで、各地域でそれぞれ活動していたため、互いの連携は限定的だった。

しかし、その状況は変わりつつあるようだ。

前出の安全保障の専門家は、サヘル地域の情勢を「かなり『可燃性』が高い」と表現。IS系武装勢力がマリ、ブルキナファソ、ニジェールへと拡大し、ナイジェリア北西部の犯罪組織を圧迫して同地から押し出すという事態に発展しかねないと指摘する。

「他にも、ナイジェリア北西部の犯罪組織を吸収し、より人口密度が高く、経済活動も盛んな地域に、ISGSが独自の拠点を築くことになるケースも考えられる。これは現時点で、極めて現実的なリスクだ」

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