北朝鮮が、自国の「闇」を描いた異色の新作ドラマを放送...一体なぜ? 地方の困窮や官僚の腐敗も
TV Drama Shows North Koreans State's Failings for First Time

北朝鮮のテレビドラマは専ら北朝鮮をユートピアとして描いてきたが AlexLMX-shutterstock
<従来の北朝鮮ドラマはプロパガンダにまみれたドラマだった。しかし、今年4月に放送された北朝鮮ドラマは、そのイメージから大きくかけ離れている>
北朝鮮の新作テレビドラマが注目を集めている。秘密主義的な北朝鮮国内の腐敗や、根深い社会問題を異例の率直さで描いたためだ。
【動画】異色の北朝鮮ドラマ「白鶴平原の新しい春」の実際の映像と韓国の反応
本誌は、在中国北朝鮮大使館にコメントを求めている。
これまでの北朝鮮のドラマは、金正恩政権によるプロパガンダに沿って、理想化されたユートピアとしての北朝鮮像を描いてきた。
朝鮮労働党が率いる北朝鮮政府は、国内のメディアを厳しく検閲しており、プロパガンダに合わないドラマが放映されることはない。 検閲を受けていない 外国のテレビ番組を視聴しただけで長期の収容所送りや公開処刑の対象になることもあると、脱北者たちは証言している。
しかし、4月に放送された全22話の北朝鮮ドラマ、「白鶴平原の新しい春」は従来の北朝鮮ドラマとは一線を画しており、注目を集めている。
このドラマでは、北朝鮮西部・黄海南道信川郡 にある辺鄙な農村、白鶴へ移住してきた党書記の奮闘が描かれている。彼は、困窮する地域社会の農作物の収穫量を向上させようと努力するが、地方の困窮や蔓延した腐敗に直面する。このような北朝鮮社会の「闇」ともいえる描写 は過去の北朝鮮ドラマでは見られなかったものだ。
困窮と腐敗は、シリーズ全体を通して主要なテーマだ。このドラマは食料不足、賄賂、役人による穀物の横領といった現実を描き出している。一般市民が便宜を図ってもらうために賄賂を差し出す描写や、官僚が権力を濫用する描写も存在する。