最新記事
北朝鮮

「対話の余地はない」金与正氏が韓国の「融和提案」を一蹴

2025年7月28日(月)12時54分
金与正党副部長

7月28日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長(写真)は、韓国のリベラル派の李在明大統領が示した融和提案について、北朝鮮は韓国からの融和政策や提案に関心がないと表明した。写真は2019年3月、ハノイで代表撮影(2025年 ロイター) Jack Kim

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は28日、韓国のリベラル派の李在明大統領が示した融和提案について、北朝鮮は韓国からの融和政策や提案に関心がないと表明した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が談話を伝えた。

金与正氏は李氏が韓米安全保障同盟に対する協力を誓ったことについて「敵対的な前任者と何ら変わらない」とし、「韓国が幾つかの感傷的な言葉で(自らの行動の)結果を全て覆せると考えているなら、それ以上に大きな誤算はない」と述べた。


 

李氏は強硬保守派の尹錫悦前大統領が戒厳令の失敗のため罷免された後、6月4日の選挙で勝利して就任。ここ数年間最悪の状態だった南北関係の改善を誓っている。緊張緩和の一環として、北朝鮮を非難する拡声器放送を停止し、北朝鮮を怒らせていた活動家のビラ散布も禁止した。

与正氏はこうした動きについて、そもそも行われるべきでなかった韓国の悪意ある行動を単に反転したにすぎず、「われわれが評価する価値すらない」と一蹴。「韓国政府がどのような政策を立案しようと、あるいはどのような提案しようと、韓国と対話するつもりはなく議論すべきこともない」と語った。

韓国統一省は与正氏の発言について「過去数年間の敵対的かつ対決的な政策の結果、南北間の不信感の壁が非常に高いことを示している」と述べた。韓国外務省報道官は記者会見で、北朝鮮との和解と協力に向けて引き続き努力していくと語った。

李氏は朝鮮戦争(1950─53年)の休戦協定締結から72年となった27日、米首都ワシントンで行われた記念式典で読み上げられた演説で、米国との同盟関係をさらに強化し、自由と平和を守ると表明した。

27日を「戦勝記念日」と位置付ける北朝鮮でも平壌でのパレードなど記念行事が行われたが、国営メディアの報道によると比較的小規模だったとみられる。国営メディアの写真には故金日成主席らの肖像を掲げて行進する兵士の列や観衆が写っているが、大型兵器などは見られない。国営メディアは金総書記の出席について報じていない。




[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、10月は前月比・前年比とも伸び
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中