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トランプに先手を取られ、新興政党には後れを取った──石破政権を待つ「過酷な運命」とは?

Checkmate

2025年7月29日(火)18時13分
北島 純(社会構想⼤学院⼤学教授)

しかし、政治とカネの領域では企業献金の見直しは先送りされ、石破首相本人にも商品券配布問題が浮上。派閥パーティー券問題は、政治倫理審査会の聴取を済ませたものの「手荒な決着」に終わった感があり、旧安倍派をはじめとする裏金議員のレッテルを貼られた議員・元議員からは恨みを買うことにもなった。

対米関税交渉の妥結も、「石破続投」の大義名分を色あせさせるような、ある意味で最悪ともいえるタイミングでなされた。

つまり石破首相は既に手の施しようがない状態にある。石破首相が仮に昨年の総裁選で敗北しその後を無役で過ごしていたら、今こそ自民の救世主として迎えられていたかもしれない。

しかし現在の自民党の苦境を招いたのはほかならぬ首相自身であり、その役割を果たすことがいま期待されているのは、高市早苗元総務相や小泉進次郎農水相、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保相らであって、石破首相ではない。


石破首相は続投記者会見で「赤心報国」という言葉を引用した。これは「赤心報国・回天倡始(せきしんほうこく・かいてんしょうし)」すなわち「私利私欲を捨て国に尽くし、自分が先頭に立って世の中を変える」という、尊王攘夷の先駆者だった幕末の志士・清河八郎の座右の銘だ。

清河八郎は幕末の激動期に日本の行く末を思って奔走し、裏切り者という誹(そし)りを受けながら孤高の志を貫くも非業の死を遂げる。石破首相が清河八郎の過酷な運命まで意識してこの言葉を使ったのか分からないが。

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