無条件の最低所得保障「ベーシックインカム」の時代は来るか?挑戦中の国々
Countries Testing a Universal Basic Income in 2025

オープンAIのサム・アルトマンCEOもベーシックインカムの社会実験を行なっている REUTERS/Ken Cedeno
<政府が最低限必要な金額をすべての国民に支給するユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)。革命的過ぎて本格導入した国はまだないが、AIの進化で大量失業も予告されるなか、世界各国で実証実験が進行している>
世界的に富の格差が拡大し、AIなどによる自動化が新たな失業をもたらしつつある今、裕福な先進国から発展途上国まで、国民に無条件の最低収入を提供しようとする国が出てきている。
全国民共通のユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)を完全に実施している国はまだないが、一部の国では、その国に特有の問題や多くの国民に共通する問題への対策として、UBIに似ているが対象を絞った制度「ギャランティード・ベーシックインカム(GBI)」などの実験を続けている。
金額、受給者、目的は様々だが、こうした実験を行うことで、ベーシックインカム制度への抵抗を和らげ、その財政的意義も明確化して、国民すべてに最低所得を保障するという急進的な経済政策を受け入れる社会的な素地を作る狙いもある。
本誌の取材に応じた専門家によると、ベーシックインカム制度は、貧困を緩和し、それぞれの国や地域の福祉制度で十分なサービスを受けていない人々に経済的安定をもたらすだけでなく、市民が労働以外の優先事項に時間を割くことを可能にするという。