最新記事
国境紛争

タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の差」は?「強気」カンボジアは本当に強いか

How Thailand and Cambodia's Militaries Compare

2025年7月25日(金)17時50分
エリー・クック

空のみならず、陸も海も...

陸軍や海軍についても、タイとカンボジアとの間に差がある。

IISSによれば、カンボジア陸軍の人員は約7万5000人で、約200両の戦車を保有している。その中には、59式戦車(中国製の旧ソ連T-54の改良型)約50両の他、T-54およびT-55型戦車も計150両以上含まれている。

他にも、カンボジアはソ連時代に設計された水陸両用の装軌式歩兵戦闘車BMP-1を70両保有している。BMP1は、現在もロシアやウクライナなどで使用されている。


翻って、タイ陸軍は正規兵13万人に加え、ほぼ同数の徴兵兵も擁している。旧式の米国製であるとはいえ、約400両の主力戦車も保有している。

他にも、タイ軍は空母1隻とフリゲート艦7隻を保有しているが、カンボジアには海軍戦力は事実上存在しない。

ヘミングスは、「タイ軍は中国製のVT4戦車を含む近代的な主力戦車を配備している。一方、カンボジア軍は1950年代に作られたT-54に大きく依存している」と指摘した。

「両国はともに自走式ミサイルロケット発射装置や牽引式火砲などの砲兵戦力を保有している。カンボジアはBM21のような戦後型に加え、1990年代の中国製も少数ある。一方、タイはアメリカ、イスラエル、中国の比較的新しい兵器を使用している」

タイとカンボジアの間には、大きな軍事力の差があるのは厳然たる事実である。ただ、現時点で全面的な衝突には至っていないため、その歴然の差は表出していないようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアに制裁科す用意、欧州の措置強化が条件=トラン

ワールド

米中、スペインでの協議初日終了 貿易やTikTok

ビジネス

アングル:中国EV技術、海外メーカーの導入相次ぐ 

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    悪夢の光景、よりによって...眠る赤ちゃんの体を這う…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中