「アメリカの経営者は終わってる」──Coldplay「キスカム」事件が示す、彼らに圧倒的に「足りないもの」
What Coldplay Kisscam Scandal Says About America's Leadership Crisis | Opinion
(インテリア家具ブランドを展開する)ミラーノル(MillerKnoll)のCEOは、従業員にボーナス返上を求めながら自分の報酬は維持し、「愚痴を言うな」と語って炎上した。
(イギリスの石油企業)BPのバーナード・ルーニー、ノーフォーク・サザン鉄道のアラン・ショウ、マクドナルドのスティーブ・イースターブルックは、いずれも部下との不適切な関係で職を追われた。
これらは偶然ではない。そこにあるのは共通した構図だ。権力と称賛に包まれたリーダーたちは、次第に自分が「見えない存在」で「罰されない存在」で、「自ら定めたルールの例外」になったと錯覚していく。
自己認識(セルフアウェアネス)は「ソフトスキル」ではない。リーダーシップの背骨そのものだ。だが心理学者タシャ・ユーリックの調査によれば、「自分は自己認識がある」と答えた人は95%にも上るのに、実際にそう言える人はわずか10~15%。
(米調査会社)ハイドリック&ストラグルズによる、7万5000件を超えるリーダー評価の分析でも、自己認識のあるリーダーは13%にすぎなかった。これは単なる「自己認識のギャップ」ではない。警鐘どころか、非常ベルが鳴り響いている状態だ。
この危機は経営陣だけの問題ではない。文化そのものが感染している。キュレーションされたフィード投稿と、アルゴリズムによる拍手喝采に溺れる時代。現実から目をそらすのは、リーダーだけではない。