最新記事
ビジネス

「アメリカの経営者は終わってる」──Coldplay「キスカム」事件が示す、彼らに圧倒的に「足りないもの」

What Coldplay Kisscam Scandal Says About America's Leadership Crisis | Opinion

2025年7月25日(金)18時33分
レス・T・チョルバ

(インテリア家具ブランドを展開する)ミラーノル(MillerKnoll)のCEOは、従業員にボーナス返上を求めながら自分の報酬は維持し、「愚痴を言うな」と語って炎上した。

(イギリスの石油企業)BPのバーナード・ルーニー、ノーフォーク・サザン鉄道のアラン・ショウ、マクドナルドのスティーブ・イースターブルックは、いずれも部下との不適切な関係で職を追われた。

これらは偶然ではない。そこにあるのは共通した構図だ。権力と称賛に包まれたリーダーたちは、次第に自分が「見えない存在」で「罰されない存在」で、「自ら定めたルールの例外」になったと錯覚していく。

自己認識(セルフアウェアネス)は「ソフトスキル」ではない。リーダーシップの背骨そのものだ。だが心理学者タシャ・ユーリックの調査によれば、「自分は自己認識がある」と答えた人は95%にも上るのに、実際にそう言える人はわずか10~15%。

(米調査会社)ハイドリック&ストラグルズによる、7万5000件を超えるリーダー評価の分析でも、自己認識のあるリーダーは13%にすぎなかった。これは単なる「自己認識のギャップ」ではない。警鐘どころか、非常ベルが鳴り響いている状態だ。

この危機は経営陣だけの問題ではない。文化そのものが感染している。キュレーションされたフィード投稿と、アルゴリズムによる拍手喝采に溺れる時代。現実から目をそらすのは、リーダーだけではない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中