ゾウがミャンマー内戦で重要な役割を果たしている「実態」...密猟が野放しになっている現実も
PARTNERS IN RESISTANCE AND RELIEF

Resistance soldiers and mahouts tending to elephants at an undisclosed location in Myanmar. Faces have been blurred to protect identities. BY SPECIAL ARRANGEMENT VIA THE DIPLOMAT
<ミャンマー軍政と戦う抵抗勢力にとって欠かせないゾウに、暗い影が迫っている>
2021年2月のクーデター以降4年以上続くミャンマーの内戦で、ユニークな「騎兵隊」が重要な役割を果たしている。隊員は200頭のゾウとゾウ使い。彼らは戦闘には参加しないが、軍事政権に立ち向かう抵抗勢力を後押しする存在だ。
抵抗勢力の支配地域では、訓練を受けたゾウが戦闘員を支援し、ぬかるんだ山道やジャングルの秘密ルートを通って物資や装備を運んでいる。今年3月末にミャンマーで壊滅的な大地震が発生した後も、ゾウは震源地のある北西部・ザガイン管区で救助隊と協力して路上の瓦礫を取り除き、復旧作業をサポート。モンスーン(雨期)が始まると薬品などの支援物資を背中に積んで、水没した地域を移動した。
一方、ゾウ使いも軍政に抵抗する革命の重要な担い手だ。中には「市民の密告者」として少数民族系武装勢力のために情報収集を行うゾウ使い、通称「スイカ」もいる。
「彼らはスパイ活動だけでなく、抵抗勢力のために仮設シェルターを設営したり、国内避難民を支援したりする役割も担っている」と、追放された国会議員や民主活動家によって構成される影の政府、国民統一政府(NUG)の関係者は語る。
ミャンマーの武装闘争にゾウが利用されるのは、今回が初めてではない。かつてゾウは北部の山岳地帯で反政府組織と行動を共にし、主に兵站目的で使われていた。