「家事・育児・介護は女性の仕事」? ジェンダー慣行が強い地域ほど20代女性の流出率は高い
細かい要因はさておき、各県のジェンダー慣行の強さは、若い女性の流出率と関連しているだろう。2024年の転出超過数(転出者と転入者の差分)を、同年初頭の人口で割ると、20代女性の転出超過率を算出できる。これは、若い女性の流出の指標とみていい。<図1>は、47都道府県のジェンダー強度スコアと、20代女性の転出超過率の相関をとったものだ。
明瞭ではないものの、右上がりの傾向が見られる(相関係数は+0.5672)。ジェンダー慣行が強い県ほど、若い女性の流出率が高い傾向だ。女性が地域外に出ていく、出て行った女性がUターンしてこない要因として、地域のジェンダー慣行に注目されるようになっているが、現実にそれがあり得ることを示唆するデータだ。
兵庫県豊岡市のように、女性のUターン(Iターン)を促すべく、地域の男女平等を推し進める自治体も出てきた。地域に雇用を増やすことは簡単にはできないが、偏狭なジェンダー慣行を無くすことは、行政による啓発や住民の心がけでできることだ。地域を持続可能にする上でも、こうした取り組みが広がることが望まれる。
<資料>
内閣府『地域における女性活躍・男女共同参画に関する調査』(2024年度)の個票
総務省『住民基本台帳人口移動報告』(2024年)