最新記事
エネルギー問題

約束だけのロシア、結果を出す中国...キューバが「中国依存」を強める背景とは?

2025年7月3日(木)13時21分
ハティボニコ

6月30日、 キューバの首都ハバナから内陸へ、でこぼこ道を何時間も走ったところにある小さな町ハティボニコには、19世紀後半を思わせる生活が残っている。ハティボニコで5月撮影(2025年 ロイター/Norlys Perez)

キューバの首都ハバナから内陸へ、でこぼこ道を何時間も走ったところにある小さな町ハティボニコには、19世紀後半を思わせる生活が残っている。道には馬車が行き交い、昼夜を問わず停電していることが多い。

国内最大でかつて最大2000人が働いていたこの町の製糖工場は老朽化し、必要な部品や電力、燃料の不足で稼働していない。

2年前、ロシア企業プログレス・アグロはこの工場を再建するため、機械や肥料、ノウハウを輸入すると発表した。


 

「(ロシア人は)いつ来るんだろう。みんなそればかり話している」と、今もこの工場で働く数少ない保守作業員の1人、カルロス・ティラード・ピノさん(58)は話した。

一方、街はずれの人目につかない場所では、3台のブルドーザーが放棄されたサトウキビ畑の土地をならし、太陽光発電所の設置準備を進めている。発電所は、21メガワット(MW)の電力を供給できる、今年キューバ全土で中国が資金援助する同規模の太陽光発電所55カ所のうちの1つだ。

キューバは切実に支援を必要としている。食料や燃料、医薬品の不足に加え、長時間にわたる過酷な停電、観光業と輸出の急落、そして第2次トランプ政権下での米国の新たな制裁措置が相まって、キューバ経済は壊滅的な打撃を受けている。

ロイターがさまざまな現場を取材したところ、ロシアが約束した支援策の多くが立ち消えになった一方で、中国が密かにその穴を埋め、絶好のタイミングでキューバ経済の支援を目的とした複数のプロジェクトを推進している状況が明らかになった。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米サミットと英アストラが提携協議、150億ドル規模

ワールド

米減税法案、北極海の砕氷船に86億ドル割り当て

ビジネス

中国EV、30年まで財務持続可能なのは15ブランド

ビジネス

実質消費支出5月は前年比+4.7%、2カ月ぶり増 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 8
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 9
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中