「中道派による極右政策」は極右候補を利するだけ...ポーランド大統領選から学ぶべき教訓
A Wake-Up Call to Centrists
有権者への説明責任を
中道が選挙で勝つことを単に期待するだけでは、問題の先送りだ。中道が何としても極右の政権奪取を阻止したいのならば、有権者が抱く懸念にもっと真剣に取り組む必要がある。主要課題は国によってさまざまだが、生活費高騰や経済、安全保障など、欧州全域で共通する問題もある。
中道政治家にとって最大の困難の1つは、不人気になりかねない政策をきちんと訴えることだ。ところが現状、欧州の中道政治家は正反対のことをしている。野心的な政策を提示するのではなく、極右の政策を都合のいいところだけ採用し、有権者が極右支持に走るのを阻止しようというのだ。これは極右を勢いづかせ、中道の支持基盤を左派政党に奪われる結果に終わる。
自由民主主義の未来は、ますます投票箱で決定されるようになった。ルールに基づく自由主義を選ぶか、MAGA(アメリカを再び偉大に)式の権威主義を選ぶか、有権者は厳しい選択を迫られる。
欧州の至る所で、有権者は腐敗と行き詰まりを抱えた現政権に変革を求めている。ハンガリーでは、新興政党を率いるぺテル・マジャルへの支持が急拡大。セルビアでは、反汚職抗議活動が何カ月も続く。スロバキアでは、政権の親ロシア政策への抗議デモが繰り広げられている。
結局のところ、どんな立場の有権者も説明責任を求めているということだ。今後も各国で選挙は続くが、山積する喫緊の政策課題の行方は、選挙が「正しい方向」に進むかどうか次第。中道派は積極的に行動し、より優れた計画を提示しなければならない。