最新記事
極右

「中道派による極右政策」は極右候補を利するだけ...ポーランド大統領選から学ぶべき教訓

A Wake-Up Call to Centrists

2025年6月10日(火)16時30分
アルミダ・バンレイ(英王立国際問題研究所欧州責任者)
僅差でポーランド大統領選に勝利したナブロツキ

僅差でポーランド大統領選に勝利したナブロツキ(6月1日) SEAN GALLUP/GETTY IMAGES

<欧州では極右は敬遠されがちと思われていたが、ポーランド大統領選では極右候補が選挙を制した。極右台頭を阻止するために必要なこととは>

6月1日にポーランド大統領選の結果が出るまでは、ヨーロッパ各地の選挙では特殊な力学が顕著だった。選挙前の世論調査では極右政党が躍進するかに見え、ふたを開ければ中道政党がトップになるか、極右が予想ほど伸びなかった、というパターンだ。

ルーマニア大統領選でニクショル・ダンが極右に勝利した際も、ドイツでフリードリヒ・メルツが首相に決定した時も、安堵の空気が流れた。


だがポーランド大統領選では、極右政党「法と正義」が支持するカロル・ナブロツキが、ドナルド・トゥスク首相の推すラファウ・チャスコフスキを僅差で破り勝利した。

この結果は国内的には、ポーランドを再び民主主義の道へ引き戻すために不可欠な、トゥスクの司法改革に悪影響を及ぼす(ポーランドでは政治の実権は首相が握るが、大統領は強大な拒否権を持つ)。

国際的にも、ナブロツキの勝利は重大な影響をもたらす。彼はEUやドイツ、フランスとの良好な関係はポーランドの利益に反すると考えており、ウクライナのNATOおよびEU加盟にも反対の立場だ。

世界の安全保障環境と欧州の苦境は、各国間で利害の対立が大きいことを意味している。EUは経済の停滞と競争力の欠如、そしてドナルド・トランプ米大統領の貿易戦争への対応に苦慮している。

事態をさらに複雑化させているのが、極右ポピュリズムへの支持の高まりだ。極右の単純明快なスローガンは有権者には魅力的だが、問題の解決にはつながらない。とはいえ、中道の政治家たちも有効な代替案を提示できていない。

日本企業
スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のアップサイクル」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米GDP確報値、第4四半期は0.5%増に下方改定 

ワールド

米、数日以内にホルムズ海峡巡る関与要請 NATO事

ワールド

イラン、ホルムズ海峡の通過船舶を1日15隻に制限─

ビジネス

米2月PCE価格指数0.4%上昇、伸び加速
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 8
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中