最新記事
荒川河畔の「原住民」(31)

ドヤ街「山谷」に集まる中国の若者たち...36年前の記録

2025年6月3日(火)16時20分
文・写真:趙海成
1989年6月1日(北京の天安門事件の直前)発行の「留学生新聞」

1989年6月1日(北京の天安門事件の直前)発行の「留学生新聞」


【まえがき】
今から36年前の1989年、中国の改革開放に伴い、日本では中国人就学生(当時、日本語学校の留学生は就学生と呼ばれた)が急増していた。

学費と生活費を稼ぐためアルバイトをしなければならないが、あまり日本語が話せない者は、仕事を見つけるのが難しい。そんな彼らが選んだのは、言葉が通じなくても1日1万円を稼ぐことができる建設現場での肉体労働だった。

中国人の就学生たちはどうやって肉体労働の仕事を探しているのか。彼らの生の声を聴くため、当時、日本にいる中国人留学生向けの中国語の新聞である「留学生新聞」の編集長を務めていた私は、日雇い労働者の寄せ場として知られた東京・山谷へ取材に向かった。

80年代末の山谷の現実をリアルに描いたルポは、「留学生新聞」第7号(1989年6月1日発行)に掲載された。今回、私が36年前に中国語で執筆した「山谷ルポ」を初めて日本語に訳して発表する。

(※以下は36年前の中国語によるルポを翻訳したもの。できるだけ当時の表現をそのまま使用している)

南千住駅から近い山谷地区。36年前の当時、日本一の日雇い労働者の寄せ場と言われた(2025年4月撮影)

南千住駅から近い山谷地区。36年前の当時、日本一の日雇い労働者の寄せ場と言われた(2025年4月撮影)

「山谷」日本社会の最底辺――日雇い労働者の寄せ場を密着取材

ここは商業都市だが、朝5時から7時まで、サラリーマンは1人もいない。
女性の立ち入り禁止の宗教聖地ではないが、女性は一人では立ち入らない。
ここは社会の底辺とされているが、アルコール自販機の売上は日本一である。
ここが「山谷」だ。ここに泪橋がある。ここには中国人就学生もいる。

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中