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荒川河畔の「原住民」(31)

ドヤ街「山谷」に集まる中国の若者たち...36年前の記録

2025年6月3日(火)16時20分
文・写真:趙海成

1989年5月10日の朝4時38分、私は池袋から始発電車に乗り、南千住――在日中国人就学生の間でよく知られている日雇い労働の市場へと向かった。

私はまず電車内を見回ったが、少なくとも6、7人の中国人就学生がいた。間違いなく彼らは早起きして働きに行くところだった。

「あなたたちは中国から来た学生ですね! 『留学生新聞』を読んだことがありますか?」私は取材に行く際、いつも挨拶代わりに「留学生新聞」を渡す。

「『留学生新聞』第4号を読みました、とても好きです」と一人が答えくれた。

「ありがとうございます! 私は『留学生新聞』の記者ですが、少しお話をさせていただけますか?」

「いいですよ」

「あなたたちはこんなに朝早くにどこに行くのですか?」

「南千住です」と答えてくれた。

都合のよいことに、今日まさに私が取材に行く場所だ。話し掛けた2人は上海出身で、日本に来て1年も経っていない日本語学校の就学生だった。日本語がまだ通じず、アルバイトの固定収入が少ないので、南千住に臨時の仕事を探しに行くところだという。

一般的な工場のアルバイトでは1日5000~6000円しか稼げないが、南千住で仕事を見つけると、1日に少なくとも1万円を稼ぐことができる。時には1万5000円に達することもあるらしい。

そのうちの1人は、今まで自動車部品工場で働いていたが、仕事中に不注意で指を1本切ってしまった。工場側は医療費を負担したものの、50万円しか補償してくれなかったと話す。一般的な労災による補償としては少ない金額だ。

彼が差し出した、指の足りない手を見て可哀そうに思った。日本でお金を稼ぐために、彼は血と肉の代価を払ったのだ。

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