「兵器は増やせても、人が足りない」...ヨーロッパの防衛産業を襲う人材危機
欧州最大の弾薬メーカーであるラインメタル はロイターに対し、28年までに約29%、人数にして最大9000人の雇用増加を計画しており、主に製品開発者、エンジニア、溶接工、電子技術者を採用する予定だという。
潜水艦とフリゲート艦を建造するティッセンクルップ・マリン・システムズは、ドイツ北部のヴィスマールの造船所で1500人の労働者を募集している。イタリアの防衛大手レオナルド も展示会などを回っているものの、数学、IT、科学の訓練を受けたSTEM専門家の不足が課題だという見解を示している。
同社は「過去には安定した質の高い契約を提示すれば十分だったが、今の若者はこの産業よりもほかのセクターを好む」と述べ、大学や専門学校にも目を向けていると語った。
パリに拠点を置く採用企業「ヘッドハンティング・ファクトリー」のゼネラルマネージャー、ゴードフロイ・ジョルダン氏は、国内の4000社の中小防衛産業のサプライヤーのために、メカニック、システムエンジニア、技術者を専門的に探している。
「我々がターゲットにしている人材は、ヘッドハンティングされた経験がなく、履歴書も持っていない」とジョルダン氏はロイターに語った。「我々が電話すると、彼らはまず詐欺を疑う」
「これは、資金の問題ではなく、人材の問題だ。必要なスキルを持つ人材が市場に存在していない」
自動車業界労働者に需要
自動車部品サプライヤー、コンチネンタル の閉鎖予定のギフォルン工場で25年間働いてきたエムルラ・カラカさんは、ラインメタルへの転職を考えている。ラインメタルは約50キロ北で工場を運営している。