中国経済に根強い将来不安...「利下げでも消費せず」止まらぬ貯蓄志向
縮み志向
中国のGDPに占める家計消費の割合は、世界平均よりおよそ20ポイントも低く、政府は成長の原動力としてより重視すると何度も表明してきた。しかも昨年、政府目標の5%前後という成長率を何とか達成できたとはいえ、輸出に大きく依存する形で、その輸出の先行きがトランプ米政権の関税措置で危うくなった以上、内需シフトは喫緊の課題になっている。
ところが金利低下は、そうした取り組みの足かせになるかもしれない。
カーネギー・チャイナのマイケル・ペティス上席研究員は、中国政府は家計部門が主体の純貯蓄者から、企業と政府で構成される純債務者への資源移転を進めていると分析。「現在の中国や1990年代の日本のような金融システムにおいて、実質金利低下に消費押し上げ効果はないように見える」と述べた。
また数十年にわたる経済の停滞が続いた日本と同様に、中国でも債務者にもたらす副作用が大きくなりつつある。
ファゾム・コンサルティングのシニアエコノミスト、エリザベス・ウェレンスキオルド氏は、中国での金融緩和は多くの企業を長期間、低コストでの借金に依存させ、さまざまな産業全体の「ゾンビ化」を招くと説明する。
ウェレンスキオルド氏によると、建設や航空、旅行、コンピューターサービスなどの業界のキャッシュフローがカバーする利払い費用は5カ月分弱にとどまっており、5カ月未満は「危険ゾーン」とみなされる。
同氏は、病気の根本的な治療をせずに痛み止めを飲み続けているようなもので、それは副作用のリスクを増大させ続けると警告した。