「息ができない」ジョージ・フロイド事件から5年...「企業も社会も沈黙へ」立ち止まるアメリカの人種正義
ピュー・リサーチ・センターが7日に実施した調査によると、成人の72%が、人種的不平等への注目が黒人に恩恵をもたらす変化につながらなかったと回答した。また黒人米国民の67%が、米国がいずれ人種的平等を達成できるかは疑わしいと答えた。
ピュー・リサーチの調査シニア・アソシエイト・ディレクター、ジュリアナ・ホロウィッツ氏は「過去5年間で懐疑的な見方が増えてきた。非常に大きな変化だ」と語った。
米企業の対応
ピューの報告書によると、企業が政治・社会問題に関する声明を出すことの重要性について、米国民の意見は分かれたままだ。多くの企業はDEIプログラムを完全に廃止するか、あるいは静かに継続している。
フロイドさんの葬儀で弔辞を述べたアル・シャープトン牧師は、多くの企業CEOにDEI維持もしくは廃止の撤回を求めてきた。「われわれは民間セクターの責任を問える。なぜなら、私たちがお金を払わなくなることには耐えられないからだ」
岐路に立つ活動
包括的な改革が行われない限り、黒人の人権を訴える「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動は影響力を持ち得ないとの見方もある。
しかしジョージタウン大のナディア・ブラウン教授は、運動が「米国民の黒人に対する視点を変え、人種と人種差別が米国でどのように作用しているかについて、人々は体系的な視点で見るようになった」と言う。
全国都市同盟のマーク・モリアル会長は、バイデン前政権下で多くの警察官が有罪判決を受け、警察部門における12件の人権侵害捜査が開始されたと説明。しかしバイデン政権はいずれの事案についても、改革につながる拘束力のある結論に至らなかった。