最新記事
北朝鮮

中国と北朝鮮の「血盟」に亀裂...中国の北朝鮮への影響力が低下、軍事面で相互不信に陥った理由

China and North Korea's Militaries Don't Trust Each Other: US Intel

2025年5月22日(木)16時35分
マイカ・マッカートニー

<中国による北朝鮮への影響力は限定的に>

「北朝鮮は、自国の兵士や物資をウクライナ戦争でロシアのために提供する見返りとして、SA-22地対空ミサイルシステムや電子戦装備など、ロシアからの軍事的協力をほぼ確実に受けている」とDIAの年次脅威報告書は述べている。

これは北朝鮮が軍事的冒険に乗り出したことに対して、米韓両政府が以前から抱いていた懸念を反映している。


北朝鮮は中国に大きく依存している。公式な貿易統計を見ると、2023年には98.3%を中国が占めた。このことからも、中国は国際社会から孤立している北朝鮮に対して強い影響力を維持しているといえる。

しかし、金正恩が国連による制裁の要因ともなっている核兵器計画を拡大しようとしていることなどから、影響力には限界があると考えられている。

「北朝鮮のロシアとの関係強化は、中国に対抗する試みである可能性が高い」とDIAは述べている。

この所見に関し、エベレスはX(旧ツイッター)上に、「中朝両国の関係についてはしばしば切っても切れない関係と語られるが、実際には、両国は軍事問題に関して互いを信頼していない。ただ、北朝鮮は中国から喜んで物資を購入している」と投稿した。

ロシアと北朝鮮は核兵器を保有し、国際的に孤立しているという共通点を持つにもかかわらず、北朝鮮とロシアの関係が進展している。中国はメンツを傷つけられてしまうことや、西側諸国の軍事的関心が自国周辺に集まってしまうことなどから、内心穏やかではないと考えられる。

とはいえ、専門家たちは、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席がアメリカ中心の世界秩序からの脱却という取り組みの中で、この新たな現実を受け入れる覚悟があると見ている。

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

カナダ外相、今週訪日 戦略的パートナーシップ深化へ

ワールド

イラン大統領、米国との対話に前向きな姿勢表明 信頼

ビジネス

日本と韓国に25%の関税、トランプ氏が表明

ワールド

ウクライナ第2の都市に無人機攻撃、1人死亡・71人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 6
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 9
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 10
    新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トラン…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中