最新記事
北朝鮮

中国と北朝鮮の「血盟」に亀裂...中国の北朝鮮への影響力が低下、軍事面で相互不信に陥った理由

China and North Korea's Militaries Don't Trust Each Other: US Intel

2025年5月22日(木)16時35分
マイカ・マッカートニー
ロシアよりの姿勢をとる北朝鮮が地域情勢に影響を及ぼしている

ロシアよりの姿勢をとる北朝鮮が地域情勢に影響を及ぼしている OnePixelStudio-shutterstock

<ウクライナ戦争でロシア側の支援を行うなど、ロシアよりの姿勢を隠さない北朝鮮。両国の板挟みになっている中国は内心穏やかではない>

北朝鮮がロシアとの安全保障関係を深めているのは、金正恩が中国に対抗するための「バランス保持」の一環である可能性が高い――。これは、米国防情報局(DIA)が20日に発表した、最新の年次脅威報告書で示した見解だ。

北朝鮮と中国の「血盟」は数十年の歴史を持つものの、実質的な軍事協力にまでは及んでいない。これは、中朝両国が「軍事面で互いを信用していない」ことを示唆していると、バージニア州に拠点を置くシンクタンクCNAのアソシエイト・リサーチ・アナリストであるデッカー・エベレスは述べている。


ロシアのプーチン大統領は2024年6月に平壌を訪問した際、金正恩と画期的な軍事支援協定に署名した。ロ朝関係は2024年末、北朝鮮軍がロシア軍を支援するためにウクライナ侵攻に加わったことで、急速に進展した。

一方、北朝鮮は中国が相互防衛条約を維持している唯一の国でもある。中国の人民解放軍は朝鮮戦争の際、アメリカ主導の国連軍を38度線以南に押し戻す上で決定的な役割を果たした。

しかし現在、両国は「実質的に軍事協力を行っていない」とDIAは述べる。これは、アジア太平洋地域におけるアメリカの覇権に対する挑戦の一環として、中国とロシアが軍事演習や合同哨戒を強化している現状とは対照的である。

本誌は、中国外交部、ロシア外務省、在北京北朝鮮大使館にコメントを求めている。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

カナダ外相、今週訪日 戦略的パートナーシップ深化へ

ワールド

イラン大統領、米国との対話に前向きな姿勢表明 信頼

ビジネス

日本と韓国に25%の関税、トランプ氏が表明

ワールド

ウクライナ第2の都市に無人機攻撃、1人死亡・71人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 6
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 9
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 10
    新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トラン…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中