アメリカの裏庭で中ロが影響力拡大...トランプの「敵たち」は中南米をどう攻めている?
Great Power Chessboard
トランプは就任直後の大統領令で、メキシコの麻薬カルテルや周辺諸国で暗躍する犯罪組織を「テロ組織」に指定。中国産の合成麻薬フェンタニルがメキシコ経由でアメリカに流入しているとして、メキシコに追加関税を課す意向も示した。
中国は何年も前から、中南米諸国に巨額の投資を行って影響力の拡大に努めてきた。ロシアもそうだし、イランも触手を伸ばしている。
そもそも中南米の国々が(特に経済面で)中国になびくのはなぜか。その理由をアメリカは「理解しなければならない」と言ったのは、イギリス政府で中南米地域を担当する閣外相のジェニファー・チャップマンだ。
実際、一口に中南米といっても国情はさまざまだ。政情が不安定で開発が停滞し、犯罪組織に乗っ取られかねない国もある。ベネズエラのように民主主義に背を向け、アメリカの敵に擦り寄る国もある。メキシコやチリのように、アメリカの緊密な同盟国と見なされてきた国もある。
現に米政府はチリを「中南米におけるアメリカの最も強力なパートナーの一つ」と位置付けているが、先に訪中した同国のマヤ・フェルナンデス国防相(当時)は、中国との防衛協力を深めたいとの意向を示している。
コロンビアの元国防相で、かつて駐米大使も務めたフアン・カルロス・ピンソンに言わせれば、今の中南米は世界の大国が熾烈な攻防を繰り広げる「チェス盤」の様相を呈している。